国際コンサルティング企業の米・MERCER(以下、マーサー)が「2020年世界生計費調査 – 都市ランキング」を発表、海外赴任者にとって生計費が最も高い都市は「香港」でした。順位の変動や変動要因、日本人が海外に暮らす際の注意点は、どういったところにあるのでしょうか。この記事では、世界生計費ランキングと、そこから考察できる「日本人が海外で暮らす場合の注意点」について解説します。

2020年世界生計費ランキング!日本の都市の順位は?

ランキングは米マーサーが毎年発表しており、2020年で26年目の調査です。調査結果は、企業が海外赴任者の報酬や手当を決める際に参考にされています。今回の調査は、2020年3月に実施されましたがマーサーは新型コロナウイルス問題の影響が世界的に広がっている状況を受けて、同年4~5月に物価などの追加分析を行ったとのことです。

以下が生計費の上位10都市になります。東京は順位を1つ下げ3位でした。

生計費上位10位

2020年度順位 2019年度順位 都市名 国名
1位→ 1位 香港 中国
2位↑ 7位 アシガバート トルクメニスタン
3位↓ 2位 東京 日本
4位↑ 5位 チューリッヒ スイス
5位↓ 3位 シンガポール シンガポール
6位↑ 9位 ニューヨーク 米国
7位↓ 6位 上海 中国
8位↑ 12位 ベルン スイス
9位↑ 13位 ジュネーブ スイス
10位↓ 8位 北京 中国

各都市の順位と順位の変動要因について

マーサーは今回の調査結果に関する報道発表で「多数の赴任地においてパンデミックの影響による物価の著しい変化は見られなかった」としています。

一方で、2020年調査では米ドルの価値が上昇したことによりアメリカの都市の生計費は高くなりました。アメリカの都市の生計費が高くなった結果、ニューヨークは2019年調査の9位から6位に順位を上げています。

南北アメリカにおいてはカナダドルの価値も上がったため、バンクーバー(カナダ)が順位を18位上げて94位でした。

香港は2019年に続いて1位となり世界の全都市およびアジアにおいても「最も海外赴任者にとっては生計費が高い都市」という位置付けです。ただし中国政府による香港への締め付けが加速しているため、今後物価などにどのような影響を及ぼすことになるのか注目したいところです。

日本国内の都市では東京が3位でトップですが他の都市はどうでしょうか。大阪は2019年の19位から22位に順位が下がり名古屋が33位から26位に順位を上げています。ランキングに登場した日本の都市はこの3都市でした。