まさかのどんでん返しとはこのことだ。公判で検察側は、誠司の私設秘書が正一郎のアリバイの“ウソ”を握る関係者を買収する一部始終を収めたVTRを証拠として提出したのだ。有罪待ったなしの動かぬ証拠を突きつけられ、傍聴人がどよめき、紫ノ宮と赤峰が動揺するなか、ひとり動揺している“ふり”をしていたのが明墨。権力・金で無実の人に罪をなすりつけてきた富田一家に、明墨は弁護士でありながら検察側に有利な証拠を準備し、間接的に正義の鉄槌を下した。正義観について対称的に描かれてきた明墨と赤峰は、手段が違えど悪に闘志を燃やす同志だったのだ。

 悪一色であれば、明墨の人間性はどれほど分かりやすかっただろう。悪人を憎み、部下の敵を討つ男気溢れる一面が見えたことで、明墨の過去を俄然知りたくなった。明墨は5年前までは検事だったことが判明し、検察官・緑川(木村佳乃)とのどっちつかずの微妙な関係性からも、検事時代に無罪至上主義の弁護士に鞍替えする“出来事”があるのだろう。

 その出来事の筆頭候補は、ラストシーンで明墨がようやく面会できた謎の囚人(緒形直人)ではないか。謎の囚人はこれまで幾十もの明墨からの手紙を拒み続けるシーンがあっただけに、明墨とそれに関わる過去を忘れたいのだろう。元検事・明墨と緒形直人演じる男が背負う過去とは。第4話は冒頭シーンから要注目だ。

■番組情報

日曜劇場『アンチヒーロー』

TBS系毎週日曜21時~
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎 ほか
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
音楽:梶浦由記、寺田志保
主題歌:milet「hanataba」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
法律監修:國松崇
警察監修:大澤良州
制作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/antihero_tbs/