■ココナッツの殺傷能力
南国では、サメに食われて死ぬ人より、落ちてきたココナッツに当たって死ぬ人のほうが多いという話がありまして、今回は女性パティシエ(香椎由宇)がココナッツでオーナーの後頭部を殴打、殺してしまった事件でした。ココナッツの外皮が死亡事故を起こすほど固いというのはわかるけど、それはあくまで高木から落下してきたときの話。人間の力で頭上から振り下ろし、一撃で脳挫傷を起こして即死させるほどのエネルギーを発生させたとなると、このパティシエの背筋力は想像を絶するところです。角のとがったガラスの灰皿とかならまだしも、球状のココナッツ一撃で頭蓋骨を割るというのは、ちょっとねえ。
なんか嫌味っぽく書いてしまいましたが、気になってしまうんです。第1話でも、町の薬局から7.5トンの水を購入して建物の屋上に運んだという信じがたい描写がありましたが、倒叙型である限り謎解きのおもしろさを求めてしまうもので、その事件はなるべくリアルであってほしいんです。
それと、もうひとつ。トリックを扱うミステリーでの殺人事件は大きく分けて、計画殺人と衝動殺人の2つとなります。計画殺人ならその計画が刑事によって解かれることになり、衝動殺人なら犯行後の隠蔽工作が解かれることになる。
『イップス』では第1話、第2話が計画殺人であり、3話と4話は衝動殺人でした。
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