食器やテーブルクロスにもこだわり、モネの世界観を食卓に再現

―掲載されているレシピは、「トマトソースのオムレツ風」や「農家風にんじん」など、シンプルな素材を使った料理が多く、思わず「試してみようかな?」と思わせてくれます。meiさんがレシピを再現するときにこだわったポイントがあれば教えてください。

mei:モネはフランスの画家なので、実際にフランスで購入したお皿やフランスのブロカント(古道具)の器などを使用することで、その世界観に近づけるように意識しました。

盛り付けの際は、緑とオレンジなどの補色関係にある色同士を組み合わせるようにします。味付けについては「適量」と説明されている部分も多いので、自分好みに調整してOKです!

また、モネの絵画にはよく布が用いられていて、その上に色味の鮮やかなフルーツが置かれていることが多いです。そういう観点でも、テーブルコーディネートはこだわり甲斐がありますね。

モネは「光の画家」とも呼ばれていたんです。だから、私も自然光が降り注ぐ時間帯を選んで、植物を画角に入れて撮影しました。

―庭づくりにもこだわりを持っていたモネの世界観を演出するためには、「光」も「植物」も大切な要素ですね。

mei:写真だと食べ物の温度感までは伝わりにくいので、あたたかい雰囲気を演出するためにも花や植物は欠かせないですね。

―最後に、meiさんの芸術との関わり方や、日常に取り入れるためのコツを教えてください。

mei:私は幼い頃から、父によく美術館に連れて行ってもらい、「気に入った絵をじっくり観たらいいよ」と言われて育ったので、芸術は友人のような存在かもしれません。同時に、芸術に触れて「自分が何を想うか」も大切で、絵画を通してそのときどきの自分の心と向き合えることも芸術の魅力なのかなと思います。

モネの絵は、光や色を繊細に捉えているものばかりです。すべての作品から画家の息遣いを感じることができるので、ただ眺めているだけでもしあわせな気持ちになるのではないでしょうか。

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庭で摘んだハーブや、畑で収穫したばかりの野菜を使い、家族や友人と囲むモネの食卓。本書で紹介されるレシピはいずれも素朴な家庭料理です。しかし、どんなごちそうよりも魅力的に、おいしそうに思えるのは、「食べること」を彩る環境にもこだわっているからなのでしょう。

食生活から1人の芸術家の生き方に触れることで、美術館で絵画を鑑賞するのとは違った目線で芸術を捉えるきっかけになるとともに、画家・モネへの理解がより深まった気がしました。

 

■書籍情報

『モネ 庭とレシピ』

著者:林 綾野

出版:講談社

 

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