◆アップデートするカッコよさ

「何だ、完成って一度きりじゃなくていいんだ」

 山田裕貴が出演するエビスビールの新CM「エビスは何度でも完成する。」篇から印象的なフレーズを引用してみた。

 商品であるビールの魅力を伝えつつ、広告的にならないぎりぎりのところで表現に昇華するのが、山田裕貴という俳優のカバー力だ。

 控えめにいって、カッコいい。もっといえば、シビれる。1970年、三船敏郎を起用し、「男は黙ってサッポロビール」という(いかにも前時代的な表現の)キャッチフレーズで宣伝したサッポロビールに代わって、同社ブランドを山田が時代に合わせてアップデートする新しい価値観のカッコよさでもある。

 映画やドラマではないCM作品でむしろ俳優としての魅力を引き立たせる。それがビールだけでなく宣伝塔である自身の宣伝効果になることは百も承知の上で、俺は俺スタイルの山田節が炸裂する。