◆「自分のやりたいこと、何だっけ」

 もちろん、幸せは主観的な感覚であり、外野の声に耳を傾ける必要はない。それでも、周囲からいろいろ幸せの定義を押し付けられると、その主観的な感覚は簡単にブレてしまう。

 七苗は恋人がいないために、結婚がいかに人生を豊かにしてくれる大切な要素なのかを、周囲から何度も言われ続けていたのだろう。だからこそ「『自分のやりたいこと、何だっけ』てね。どうする? 29にして完全迷子ですよ」と口にしていたように思う。そういった雑音を遮るために、恋人がいると嘘をつき、真実味を持たせるために結婚指輪を携帯していたのかもしれない。

 そんな七苗ではあるが、記憶喪失の謎の男・コウタロウ(松下洸平)との出会いをキッカケに、恋愛での幸せを獲得できそうな雰囲気。七苗はどのように「何が幸せなのか」を見つけていくのか、そんな彼女の今後に期待したくなるドラマだ。

<文/望月悠木>

【望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki