この週は野宮だけでなく、波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)、長屋の倉木(大東駿介)による「万太郎の悪口大会」が繰り広げられて「ほんとにそれよ!」と首が赤べこ状態でうなずきっぱなしになりました。「傲慢、野心家!」「お調子者、ボンボン!」「身の程知らず、人たらし!」「あいつは何にも考えちゃいねえよ。頭ん中お花畑だ」と。みんな、そういう欠点だらけの万太郎を愛しているのだけれど、万太郎の研究が世界まで広まってしまった今、彼の周りにいるのは笑って許してくれる友だちばかりではない。いつまでも草花で遊んでいる子どもみたいではいられない……。そう、万太郎は父親になった今でもとにかく「子ども」なんですよね。自分の振る舞いがどう見られるかとか、自分が持っているものを他の人が持っていないことに無頓着。そして子どもだから、寿恵子の、会えないことがわかっていながら聡子(中田青渚)を訪ねてしまうほどの孤独には気が付かない。しっかりしてくれ、お父ちゃん。
「何を期待していたんだか」と笑った田邊教授。自分の名前が世界に向けて、ムジナモの開花という大発見のところに載るかもという期待。万太郎のようにみんなに愛されたいという期待。何よりも万太郎に、共著という形で、自分への感謝と尊敬を見せてほしいという期待。そんな期待を持ってしまった自分を笑っていたのかなあ。俺は花を咲かせることさえできなかったのに、と。若い頃は、万太郎並みの無茶をしてコーネル大学へ留学したらしい田邊教授。万太郎への決別宣言は、子どものように無知で無邪気で、植物への愛しかなかったかつての自分への決別でもあるのもしれない。
■番組情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこうほか
作:長田育恵
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮﨑あおい
制作統括:松川博敬
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
植物監修:田中伸幸
制作:NHK
公式サイト:nhk.jp/ranman