「どうした!?品川」が放送されたのは、2012年9月。デビュー当時からギラギラしていた品川は、ベストセラーを連発し、映画監督として実績を積み重ねていくうちにすっかり丸くなり、「韓流スターのよう」になってしまった。そのことに業を煮やした東野が、品川をよく知る芸人仲間を集めて徹底的にイジリ倒すという回だった。この回は当然のように“神回”と呼ばれ、11年たった今でも鮮明に覚えている視聴者は少なくないだろう。

 東野は、破壊の人だった。しかも容赦がなかった。そして、結果としてその対象がなんらかの精神的な再生を果たすことがあったとしても、基本的には「ただ面白いからやってる」だけのように見えた。対象の正体を破壊的に暴くだけで、相手の立ち回りが悪ければ、よろしくない結果を招くこともあった。

 だが、「どうした!?品川」から11年、最近の東野はスタジオMCを安住の地と定めて、波風を立てずに芸能界を生きているように見える。『マルコポロリ!』(関西テレビ)こそまだ往時の名残を見せるが、『ワイドナショー』(フジテレビ系)、『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(ABCテレビ)では、ひたすら進行に徹している。過去の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)では「俺はフロアディレクターのつもりでテレビ出てるわ」との発言もあった。

 東野も、もう56歳。今さらテレビでリスクを冒して過激な振る舞いをする意味などないのだろう。「どうした!?品川」では丸くなった品川をしこたま叩いた東野だが、最近のテレビでの東野こそ、すっかり丸くなっているように見える。そう、テレビでは。