◆“岩田剛典フィルター”を通して見えてくるもの

 岩田剛典が見つめた戦争……。これ以上のタイトルはなかったと思う。このタイトルひとつで過去の圧倒的な出来事が透視(あるいは、幻視)できるんじゃないか。そう思わせる。

 実際、番組冒頭で岩田は「自分っていうフィルターを通して」と言う。この“岩田剛典フィルター”を通すことで初めて見えてくるものがある。もちろん彼も戦争を知らない世代。その上で戦争を見つめる案内役、その導き手として、この令和の時代に誰が相応しいのか。

 NHKのキャスティングは英断と言わざるを得ない。岩田が見つめる戦争をぼくらも一緒になって見つめたことになる。番組を見た以前以後では、どれくらい認識が違ってくるだろう?