◆「まー君」から演技派へ

 岡田将生のことをつい「まー君」と呼びたくなる。『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系、2007年)で小栗旬や生田斗真などメインキャストのうしろでただただ可愛らしくたたずんでいた頃の岡田なら、まだそう呼べたかもしれない。でも現在の彼はどうだろう。

 連続ドラマ初主演作『オトメン(乙男)』(フジテレビ系、2009年)から早くも演技に厚みが出た。同作で道着姿だった岡田が『昭和元禄落語心中』(NHK総合、2018年)では落語家の和装をエレガントに着こなす。

 驚くべき怪演ぶりを見ると、「可愛いだけのイケメン俳優じゃないんだ、俺はもう」という魂の叫びが聞こえる気がする。

 今や役と向き合いながら自由自在にドライブする感性を持つ演技派となったのだ。ああ、もう「まー君」なんて気安く呼んでいられない。岡田の演技が覚醒し始めるとともに、ちょっぴりさみしくも感じたのは筆者だけだろうか……。