◆理不尽を晴れやかに吹き飛ばせる存在

 ダスティン・ホフマン主演の映画『トッツィー』(1982年)では、売れない(男性)俳優マイケルが、起死回生の策として、(女性)俳優になりすまして昼の帯ドラマで重要な役どころを得る。視聴者も現場スタッフもまさか男性だとは誰も思わない。

 むしろウーマンリブ(女性解放)の象徴のように人気を博す。現場を仕切るベテラン・ディレクターはまるで女性をモノのように扱い、マイケルの扱いづらさを“男勝り”だと表現する。

 今も昔もこの表現が不適切であることに変わりはない。マイケルは「(男勝りという表現に対して)そういう決めつけは許せないわ」と一蹴して、ディレクターをやり込めるのだが、こうした前時代的な理不尽を晴れやかに吹き飛ばせる存在を今の日本で考えたとき、不意に今田美桜の名前が浮かぶのは、筆者だけ?