検証:子育て世帯の生活保護費は本当に最低賃金を上回るのか?

その仮説を検証するため、厚生労働省のモデルケース(33歳・29歳・4歳の3人世帯)の生活保護費(児童養育加算含む生活扶助と住宅扶助の合計)を時給換算して最低賃金と比較してみました。

生活保護費
(時給換算)
最低賃金
1級地-1
東京都23区
1,428円 1,041円(東京都)
1級地-2
札幌市
1,236円 889円(北海道)
2級地-1
秋田市
1,282円 822円(秋田県)
2級地-2
長岡市
1,219円 859円(新潟県)
3級地-1
弘前市
1,154円 822円(青森県)
3級地-2
結城市
1,135円 879円(茨城県)
※時給は1日8時間・1ヵ月20時間労働で計算(小数点以下切り捨て)
参考:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」

級地の指定は、各市町村の1人当たりの消費支出などをもとに、市町村ごとに設定されています。上記の市町村は一例として挙げています。

大変驚くことに、すべての区分で生活保護費が最低賃金を上回っています。また、他のケースでも同様の検証を行った結果、高齢者夫婦世帯や母子世帯の生活保護費も最低賃金を上回る結果となりました。

最低賃金が大きく上がらない限り少子高齢化は加速する

検証の結果、生活保護費が最低賃金を上回るケースが複数あることが実証されました。国や経済界が本腰を入れて最低賃金を大きく上げなければ、ますます少子化が加速し、この国に明るい未来を期待できなくなるかもしれません。

文・
元銀行員ライター。預金・為替業務に長く携わった経験をもとに、節約などの記事を多数執筆。現在はジャンルを広げて教育系の資格を生かした記事まで幅広く執筆。