「長きにわたり絶大な人気を誇ってきた宝塚ですが、切り離せないのは昨今しばしば問題となるジェンダーとの兼ね合いです。宝塚は“女性が男性を演じる”という点が最大の特徴ですが、主役はほとんど男性(男役)で、女性(娘役)は常に男役の“添え物”。ミュージカルでもショーでも“男役がいかに格好良く見えるか”に全ての力が注がれています。物語で展開されるジェンダー観はしばしば非常に昭和的で、女性を一段下の存在として蔑んだり、夫が暴君のような亭主関白だったり、男の女遊びは許容されても逆だと許されなかったりといったストーリーは少なくない。貴族や身分差、出自、容姿の良し悪しが物語のカギを握る作品も多いのですが、最終的にそれらを否定するわけではなく、むしろ肯定してしまうような形で終わるパターンも珍しくなく、テレビドラマや大衆映画を見慣れた人はショックを受けるかもしれません。これまで宝塚の舞台は、宝塚的な世界観を共有できる熱心なファンしかいない中で公演が行われてきましたが、一連の騒動で宝塚に対する目は厳しくなっている。手っ取り早いところでいえば、ショーでしばしば登場する黒塗りは批判の対象になりやすく、今後は慎重にならざるを得ないかもしれません」(舞台関係者)

 一方で、一連の問題に対する報道についてはこんな指摘もある。

「今回の件について新聞・テレビ・週刊誌は、総じて宝塚に対して極めて厳しいトーンで報じていますが、これはジャニーズ問題の影響が大きい。ジャニーズ事務所内の性加害問題は日々大きく報じられていますが、マスコミ各社は長年、ジャニーズから“出禁”を喰らうのが怖く、問題を一切黙殺してきました。マスコミも性加害に加担してきたようなもので、批判されるのも当然です。これに対して宝塚は、テレビ局も新聞社も出版社も関係が薄く、忖度の必要がない。OGは芸能界で多数活躍していますが、“宝塚を叩いたから、あのテレビ局と仕事はしない”という女優はいないでしょうから、ある意味叩き放題です。ジャニーズ問題の対応への反省が宝塚バッシングに繋がっているのは、宝塚にとっては不運と言えるでしょう」(週刊誌記者)

 すべてのタカラジェンヌに笑顔が戻る日は来るのか。