逆に言えば、安住アナにとって年収のプライオリティはさほど高くないということだろう。実際、その活躍と人気からフリーランスへの転身説がささやかれることもあるが、安住アナは局アナへのこだわりが昔から強い。

 2006年発売の著書『局アナ 安住紳一郎』(小学館)の時点で、〈僕ら局アナにもまだやるべきことがある、いや局アナにしか成し得ないこともたくさんあるはずなのだ〉と語っていたが、2020年4月発売の「週刊文春」(文藝春秋社)での阿川佐和子氏との対談では、〈局アナはスタッフと身分として同じなので、出演者として不満があれば「企画会議のときにも同席させてください」と言うことができる。自分が変えたいと思っていることに対しては、ラディカルに変えられる側面があります。フリーランスだと「一ご意見として承ります」となって(何も変えられないまま終わって)しまうかもしれないので〉〈一応私は局次長待遇という肩書(※当時)があるので、上のほうまで「訴状!」って感じで物申せるんです(笑)〉と、局アナであることのメリットを語っていた。

 今年5月にも、自身の冠ラジオ番組が「第60回ギャラクシー賞」ラジオ部門のDJパーソナリティ賞を受賞したことで出席した贈賞式の場で、局アナとしてこれからもやっていくと宣言したばかりだ。

「この場では、佐々木社長から直々に『優秀なアナウンサーがフリーになるだけじゃなく、優秀なアナウンサーこそ局に残ってほしい』と言われたことを明かし、局アナを続ける理由について、待遇面などで『非常に理解のある社長』だと説明していました。前年に局長待遇になったことを明かした2021年にも佐々木社長と2時間ほどの面談をしたことを安住アナは明かしていましたが、やはりTBSの顔である安住アナの引き留めには力を入れているのでしょうし、安住アナの求める要求にきっちり応えた待遇を用意しているのでしょうね。おそらく年収以上に、働き方のスタイルや、“物申せる”環境のほうが安住アナにとって重要なのでは」(同)

 「安住役員」となったことで、いよいよ「安住社長」誕生も夢物語ではなくなってきたが、安住アナの次の役職はどんなものになるのか。羽鳥ら人気フリーアナたちも、前代未聞のキャリアを築き上げつつある「局アナ」安住紳一郎の動向は注視しているに違いない。