◆晴れないまひろの心

NHK大河ドラマ『光る君へ』第15回
ききょうから女房として出仕する話を聞いたまひろ(吉高由里子)。ききょうからは自慢しに来た、という空気はない。嬉しくて嬉しくて仕方ないけれど、この喜びを伝えられる人がいない……そんなときに思い出したのがまひろだった。まひろは、ききょうの「出世」を喜び、笑顔を作るがどこかぎこちない。

さらに、まひろの弟・藤原惟規(高杉真宙)が難関試験に受かり、擬文章生という立場になった。まひろの一家にとっては久しぶりに明るいニュースだ。父・為時(岸谷五朗)と共に、とっておいた酒を飲み交わし、まひろは琵琶を奏でる。

良いニュースだが、まひろの心は弾まない。弟に比べて、自分は何も前進していないからだ。もちろん、そんな態度を弟の前で出すほどまひろは子どもではなかったが、鬱屈としたものを抱えている。家のために、と懸命に働いているまひろだが、ききょうのように目標を明確に持つこともできずにいるように見える。まひろの心情を想像するとやるせない。きっと彼女のように悩んでいる女性は多くいるはずだから。