「バラバラ大作戦」がこの2人を呼ぶからには、これくらいのものをぶつけなきゃいけないだろう。それは、制作側の覚悟だったに違いない。要するに、肚が決まっているのだ。

 上田による文章は男性アナウンサーによって朗読された。井口と久保田は、ヘッドホンでそれを聞いている。その間、5分30秒。ゾフィーが2度ファイナルを経験している『キングオブコント』(TBS系)のネタ時間より長く、笑いゼロの切実な告白がテレビに映し出される。

「どうしてくれるの……」と久保田が首を垂れる。「一回楽屋戻ってもいいですか」井口は精いっぱいの“笑える”コメントをひねり出す。

 もう毒舌も悪口も出番はない。2人が上田の告白を、2人の“自分ごと”として話し始める。1人でも火力を出せる漫才師であること、『M-1』王者という結果を手にしていること、2人にしか言葉にできない思いが、次々にあふれ出てくる。そしてこの2人にいつだって付いて回る「人を傷つける笑い」というレッテルに対する解釈に帰結していく。