◆キャスティング理由を考えてみる

 それはそうと、本作最大のギミックは、相手役の俳優として韓国人が配役されたこと。民放ゴールデンプライム帯ドラマ史上初だという。なんでまたこのタイミングで。そしてまたなんでチェ・ジョンヒョプがキャスティングされたの?

 正直、筆者は本作を見るまで彼の存在を知らなかった。日本でも話題になった『わかっていても』(2021年)などのNetflix世界配信作品で株をあげてきたらしいけれど、それにしてももっと日本で知名度のある韓国人俳優をキャスティングしてもよかったんじゃないか。

 でも考えてみると、『梨泰院クラス』のパク・ソジュンやアン・ボヒョンのようなクラスの韓国人俳優がもしキャスティングされていたら、ラブコメ特有のリアリティのなさとは別の意味で、日本のテレビドラマとしては極端に現実離れしてしまわなかったかしら。いや、もちろん、パクやアンに劣るわけではないけど。

 ただ、チェ・ジョンヒョプを配役することのちょうど良さはある。2022年放送の日曜劇場『DCU』など、海外のプロダクションとの共同制作や展開を画策するTBSの本腰ラブコメ作品として、韓国人プロデューサーが製作陣に入っている。

 深田恭子主演の『ダメな私に恋してください』(TBS、2016年)以来、日本屈指のラブコメ・ブランドを誇る火曜ドラマ枠のリアリティは、現段階では担保しておきたい。それを体現、担保できる逸材は誰かと探した結果、キャスティング会議で、チェ・ジョンヒョプがヒットしたものと思われる。