◆「終わった」ではなく「始まった」

更年期のつらさやしんどさから、逃げるのは難しいでしょう。抗(あらが)いながらも自分の中で決着をつけるしかありません。しかも更年期にはっきりしたゴールはなく、エンドマークはその人自身でつけるもの。

今作で圭子も、自分なりに「終わり」を制定します。「ちょっとさびしい気もするんですけど」とこぼす圭子に、先輩の女性が笑顔で放った言葉が「『終わった』んじゃなくて『始まった』んだから」。更年期を乗り越えた先にあるのは、一皮むけてリニューアルした自分自身なのです。

更年期は人生のレベルを上げるために、神様が与えたきっかけかもしれません。その後の圭子がどういう人生を歩むのか、あなたの目で確かめてみてください。必ず、元気をもらえるはずです。

<文/森美樹>

【森美樹】

1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx