新型コロナウイルスの影響でこれからの働き方や生き方を改めて考える機会が増え、都心から地方への移住がこれまで以上に注目を集めています。ただ、まだ漠然としていて「なんとなく地方移住に憧れている」「地方移住をしたいけど何をすればいいか分からない」といった人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、実際に地方移住する前に知っておきたい費用や役立つ行政のサポート制度について解説します。
20代、移住を考える人が増加中?
近年地方移住がブームとなっています。地方移住を支援する「認定NPO法人ふるさと回帰支援センター」では、年間相談件数が右肩上がりに増え、相談にやってくる20代も決して少なくはありません。
内閣府が2020年5月25日~6月5日の間にインターネットを使って「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」を行ったところ、そうした社会情勢を反映する結果となりました。
同調査によると、東京23区内に住む20代のうち新型コロナウイルス影響下において「地方移住への関心が高くなった」「関心がやや高くなった」と回答した人の合計は35.4%でした。また三大都市圏で「地方移住への関心が高くなった」「関心がやや高くなった」と回答した20代の合計は22.1%と年代別ではトップとなっています。
これは、コロナ禍によりテレワークが普及し、住む場所を選ばない働き方もあるとの認識が広まったことが理由の一つだと思われます。また自宅で過ごす時間が増えたことで、改めて今後の生き方や働き方を考えるきっかけとなり、「地方移住」という選択肢が候補に挙がってきた可能性もあります。
地方移住にかかるおおよその費用をチェック
地方へ移住するのにどのくらい費用がかかるのか、シミュレーションしてみましょう。そこでここでは、地方移住で予想される4つの項目の費用について確認していきます。
1.引っ越し費用
引っ越し費用は、荷物量や移住先までの距離、時期によって変動します。例えば「引っ越し見積もりサイトSUUMO単身引っ越し相場」によると、単身かつ500キロメートル以上の距離がある移住先で通常期(5月~翌年1月)の場合の平均相場は約6万~9万6,000円、繁忙期(2月~4月)で約6万7,000~11万1,000円が相場です。
少しでも費用を抑えたい場合には、できるだけ繁忙期を避けたり荷物を減らしたりするのがよいでしょう。また複数の引っ越し業者に見積もりを依頼すると最も安い費用の業者が分かります。
2.自動車購入費用
地方での移動手段は自動車が基本です。路線バスや電車が通ってはいるものの「1時間に数本のみ」という地域は少なくありません。そのため自動車の購入も地方移住では必要です。ただ、あまり費用をかけられない人も多いでしょう。その場合は、中古車であれば費用を抑えて移動手段を確保することができます。
株式会社リクルートマーケティングパートナーズが行った「カーセンサー中古車購入実態調査2019」によると、2019年度の中古車購入費用の平均は143万6,000円でした。軽自動車の場合は、もう少し安い費用で購入できることでしょう。
3.生活費
「地方だから生活費が安く抑えられる」と考えている人も多いかもしれません。しかし実際には大きく変わらないケースが多いようです。また住む部屋が広くなると光熱費がかさむこともあります。地域によっては、自治会費や公民館費などが必要な場合も少なくありません。
移住してから仕事を探そうと思っている人は、仕事が見つからなかった場合を想定し、あらかじめ移住後数ヵ月分の生活費を用意しておきましょう。
4.住居費
住居費は移住先によって大きく変化しますが多くの場合都心に住む費用よりも安く抑えることが期待できます。公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の「一人暮らしに関する意識調査」によると18~29歳の単身世帯の家賃平均は男女ともに約5万7,000円です。ただしこれは全国平均の数字のため、地方の場合、もう少し抑えた金額が予想されます。
また家賃数ヵ月分の敷金や礼金、前家賃などが必要となるケースも多いため、あらかじめ確認し用意しておきたいところです。例えば敷金2ヵ月、礼金2ヵ月、前家賃1ヵ月とした場合、家賃が5万7,000円であれば入居するだけで約28万5,000円といったまとまった費用がかかることになります。
加えて火災保険などの加入を義務付けられているケースもあるため、30万円前後は準備しておきたいところです。