私が見た限りの朝のワイドショーでは、おおむね大谷に好意的なものが多かった。

「大谷自身の口から真実を語った」「ここで話したことがもし嘘だったら大谷の野球人生は終わる。その覚悟をもって臨んだ」「大谷は違法賭博にも手を染めていないし、闇賭博へ送金もしていない」

 中には、当然だが、現実に闇賭博へ送金がされているのだから、大谷が関与しなくて(送金は)可能なのだろうかという疑問は出たが、水原一平が大谷の口座の暗証番号を知っていたのではないか、だから大谷のサインを真似て口座から引き出して送金したのではないかという「水原一平単独犯」というあたりで落ち着いた。

 だが、水原は「ESPN」ティシャ・トンプソン記者の最初のインタビュー(THEDIGEST3/23(土) 11:06配信)で、こういっているのだ。

――当初は「翔平にこのことは言いたくなかった」そうだが、2023年の早い段階で借金が400万ドル(約6億円)に膨れ上がり、ついに大谷に助けを求めたと『ESPN』は説明する。トンプソン記者は「水原は大谷の信頼を失うことを恐れ、また、誰かが家に来るかもしれないという身の危険を感じていたようだ」と伝える。

 そして、水原氏は「彼(大谷)は明らかに不満そうでしたが、助けてくれると言ってくれた」とコメント。「ESPN」が「大谷は金を借りた相手が違法ブックメーカーだと知っていたのか?」と問うと、水原氏は「大谷は何も知らなかった。私はただ、借金を返済するために電信で送る必要があると言っただけです。彼はそれが違法かどうかは訊いてこなかった」と続ける。

 その後ふたりは大谷のパソコンから1回50万ドル(約7500万円)の送金を8~9回行ない、取り引きの説明欄には「ローン」と記載。昨年10月に最終的な支払いが完了したという。「借金の返済を求めることで、大谷や自身に危険が及ぶとは考えなかったのか?」と尋ねられた水原氏は「その時はふたりともそんなことはまったく考えていなかったと思います」と答えた――

 インタビューの基本だが、“疑惑の人物”が語った最初の言葉が重要で、次に聞き直したとき前言を翻したら、それはインタビュー後に何らかの「圧力」があったと考えるのが常道。

 まして、公私ともに24時間一緒にいた年上の相棒が、長年ギャンブル依存症だったとは知らなかった、約7億円という途方もないカネが引き出されていたことも知らなかったというのは、信じ難いというしかない。

 また、大谷という人間は、水原から莫大な借金を作ってしまったと聞いたら、理由は聞かず(聞いたとしても絶対口外しない)、カネを都合してやる思いやりのある人間なのではないか。

 虚像かもしれないが、自分を守るために、相棒を刑務所に送るような人間ではないと信じたいではないか。