◆互いの人生を変えるほど濃厚な凸凹バディ関係

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
©映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会
 特筆すべきは水木たちふたりのバディ感。辛い経験から二度と搾取されてなるものかと権力や金を得ることに固執してきた水木は、“ゲゲ郎”との出会いによって凶悪な権力に立ち向かう勇気を得る。

 一方の“ゲゲ郎”もまた、水木との出会いによって懐疑的であった人間への愛を知る。たった数日の出来事ながら互いの人生を変えるほどの邂逅(かいこう)は濃厚で、正反対ながら根本の似た凸凹バディのやり取りをずうっと見ていたくなった。

 またアクションシーンも気合の入った作画で、“ゲゲ郎”の人外らしいダイナミックな戦闘スタイルは普段の飄々(ひょうひょう)とした様子とのギャップも相まって強い印象を残す。

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
©映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会
 弱者を踏みつけにしてきた龍賀一族のひとりひとりにも、尊厳を奪われ続けてきたであろう過去が垣間(かいま)見え、嫌いになりきれない。あったであろう日々やありえたはずの未来を描いたファンアートがSNS上に多数投稿されているのも納得だ。