死亡が伝わった後、クチェレンコ次官がジャーナリストとの個人的な会話の中で、ロシアによるウクライナ侵攻を非難していたことが明らかになった。

 クチェレンコ次官と旧知の仲だったという独立系のロシア人ジャーナリスト、ローマン・スーパー氏(38)は、ロシアのウクライナ侵攻以降、身の危険を感じてロシアから出国しているが、出国の直前にクチェレンコ次官と、次官の執務室で面会したという。その際、クチェレンコ次官は「私がロシアを離れることは不可能だ。彼らは私のパスポートを没収している。このファシストによる侵攻後、そのロシアの次官に会うことを喜ぶ世界など、どこにもない」と話していたという。また、スーパー氏が暮らし向きについて尋ねると「抗うつ薬と精神安定剤を同時に服用している」と答えていたという。

 スーパー氏はモスクワ大学でジャーナリズムを専攻した後、ロシア国内でジャーナリストとして、またドキュメンタリー映画の監督として活動した。ロシア国内のほか西側の映画祭でも受賞経験がある。クチェレンコ次官とのやり取りは自身のメッセージアプリで明らかにしたが、会った具体的な日時については記していない。

 スーパー氏の話が真実だとすれば、クチェレンコ次官はプーチン政権にかなり批判的だったということになり、その死はミステリー性を持つ。さらにミステリー性を増幅させるのは政府専用機の飛行経路だ。