◆政治家になりたい気持ちに火をつけたのは2つの出来事

金子恵美 インタビュー
――最終的にはお父様の応援も得て当選し、やがて国政に進出しました。小さな頃からの環境もありますが、それ以外に、政治家になりたいという気持ちに火をつけたことがあれば教えてください。

金子「ネパールに行ったときに、カトマンズで子供が物乞いをしているのを見たんです。それも身体が不自由な状態を見世物にして、お金を要求していました。外から来た人間が思うのは失礼なことかもしれませんが、私としては、国全体を豊かにしていくためには、やはり教育をしっかりしていく必要があると感じました。それがひとつ。もうひとつは、私自身の療養生活がきっかけです」

――療養生活ですか?

金子「23歳のときに、額関節症で外科手術をしました。強制的にかみ合わせを治すので、骨を固定して、かなり壮絶な療養生活に入るんですよ。上あご下あごを完全に固定して、歯の隙間からペースト状のものを入れて食べたり、筆談で会話したり。そういった生活を1年以上、経験したんです」

――それは大変でしたね。

金子「その時に、先生やスタッフの方々の奮闘ぶりを見ながら、医療の現場のいろんな問題が見えてきてしまったんです。看護師さんたちの労働体制といったことも含めて。過酷すぎる、これは問題だと。それで制度的に、今の医療体制ってどうなっているのか勉強しようと思い始めました」

――なるほど。

金子「同時に、そのときに出会った女の子の存在が、政治家になるうえでの、非常に大きな最後のひと押しになりました」