万太郎は、植物を観察するように人の真の姿を見つめ、真っ正直に接する。彼自身は子どもの頃から変わらないけど、彼のまっすぐな瞳に見つめられた人たちが、どんどん変化していくのがいいですよね。倉木だけでなく、植物学教室の大窪(今野浩喜)も、万太郎によって変わったひとり。学歴のない万太郎をあんなに悪く言っていたのに、植物が大好きな彼を見ているうちに気持ちが動かされ、もっと学びたい、共同研究をさせてほしいと頭を下げる。植物学教室の他の人々、徳永助教授(田中哲司)も波多野(前原滉)も藤丸(前原瑞樹)も、別に植物が好きなわけではなくて、他に行き場所がなかったから仕方なくやってきた。でも今の彼らは万太郎から見ると「植物学を生きゆう」人。万太郎が、彼らのいいところを語る場面で、ぼろぼろ泣いてしまいました。あんなふうに、自分の努力をずっと見続けてくれて、良さを褒めてくれる人がそばにいたら、好きになっちゃいますよね、彼のためになんでもしたくなっちゃいますよね。だからみんなが彼を助けようと集まってくる。しかし、そう思わない人がただひとり。新種発見の喜びを爆発させる万太郎たちから離れ、個室にこもる田邊教授(要潤)。ペンから滲み出るインクの黒は、彼の心の色か。そこに追い討ちをかける、戸隠草事件。ああ心配。
学会誌に新種「ヤマトグサ」を発表し、初めての図譜も出版することができた万太郎。浮かれて「どうでもえい話」をみやげに帰宅した彼に、寿恵子から告げられる「どうでもよくないほうの話」。寿恵子が何を話したかは説明がないまま終わったけれど、長屋の片隅に咲く三輪のたんぽぽが答えを告げている。「どうでもいい話」と「どうでもよくない話」が入り混じる2人の幸せは、もうじき3人の幸せになりそうですね。
■番組情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこうほか
作:長田育恵
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん「愛の花」
語り:宮﨑あおい
制作統括:松川博敬
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
植物監修:田中伸幸
制作:NHK
公式サイト:nhk.jp/ranman