今回の事件でメディアの行動が問題視されたのは、これだけではなかった。事件が起きた蕨市では、発砲事件が起きたという情報を防災行政無線で市民に呼びかけていたのだが、SNS上で「蕨郵便局の近くに住んでるけど、TV局のヘリが爆音で飛び回ってて防災放送が全然聞き取れなかった。街中は普通に散歩してる人歩いてるし…報道も大事だけど近所の人たちの安全を優先してほしい…」という声が噴出していたのだ。
さらに「もともと防災無線は聞き取りづらいのにヘリの音あったら無理だろ」「上空を飛んでいるヘリの音が子どもたちの不安をあおります。 マスコミの皆さま、自重していただけますでしょうか」といったコメントも散見された。近隣の戸田市なども含めて複数の報道ヘリが周辺を飛び回っていたとみられ、男の身柄が確保された後の深夜もヘリの音が鳴りやまなかったとの声がある。
今回は幸いにも通行人などに危害が及ぶことはなかったが、無線が聞き取れなかったせいで、お年寄りや子どもが知らずに現場周辺に近づいてしまう事態が起きる可能性がなかったとはいえない。今回のような事件だけでなく、大規模災害時に報道ヘリが飛び回ると「がれきの下で救助を求める人の声が聞こえなくなる」という指摘も以前からあり、改めて報道ルールを考え直すべき時期を迎えたといえるのかもしれない。