中継は上空からのヘリ視点を中心に進行されたのだが、パトカーの陰で盾を持って待機している警察官や建物の側面に回っている捜査員の姿など警察の人員配置が丸見えに。状況によっては突入のために刑事部捜査1課特殊班「SIT」や特殊急襲部隊「SAT」の投入も予想されたことから、ネット上で「犯人がテレビ見ていたらどうするんだ」「警察の動きや配置をバラしちゃダメでしょ」といった声が相次いだ。もし警察の動きがテレビを通じて犯人に知られたら、犯人が激高して人質の生命に危険が及ぶ可能性もあった。
『ゴゴスマ』は、まさに警察の配置を上空から丸見え状態で中継し、司会の石井亮次アナは「郵便局の前にはパトカー数台が止まっています。捜査員が盾を持って身構えているという、こういう状況です」などと伝えていた。これに対して、コメンテーターとして出演していた菊地幸夫弁護士が「ちょっと」と切り出し、「郵便局ですから、例えば待合コーナーにテレビがあるとか、もしかしたら中継を犯人が見ている可能性もあると思うんですよね」と指摘。続けて「どんな様子なのかとか、ちょっと考えながら放送したほうがいいと思うんですね。だから『特殊部隊が今来ました』とかですね、そういうことはあまり言わない方がいいのかなとか、そんなことを考えたりしてます」と、謙虚な言葉遣いながらもしっかりと忠告したのだ。
その後はリアルタイムではない映像や近隣住民へのインタビュー、郵便局の入り口のみをとらえた映像などに切り替わり、ネット上では「的確な指摘ができるコメンテーターがいてよかった」「このコメンテーターさん、めちゃくちゃ有能だな」「逆に、菊地弁護士以外は何とも思わず放送してたのヤバくない?」といった声が上がった。番組としては報道規制や報道協定がなかったのでヘリから中継していたのだろうが、人命にかかわる人質立てこもり事件などでは「作戦行動中の捜査員を映さない」といった配慮は暗黙のルールとすべきなのかもしれない。