◆素直じゃないが、力強いキャラクター

『ペンディングトレイン』より© TBS
 第6話、直哉は、焚き火を囲む仲間たちにこんなことを言う。

「俺は何にも期待しない。そう決めてるの」

 ひどい頑固者で、自分で自分をがんじがらめにしている。なんて不器用な人なんだろう。最初は相手にもしていなかったのに、いつかしかほのかに心を寄せるようになる畑野紗枝(上白石萌歌)には、素直じゃないと言われる。

 第7話、サバイバル世界に嵐の雨が降りしきる中、直哉と紗枝は、手製の草屋根で雨宿りする。好きな相手だから、ぶるぶるふるえる紗枝に自分のコートを貸してあげようとするのだが、やっぱり素直にできない。なんやかんやといらないことを言ってしまう。

 それですこし言い合いになり、過去の葛藤がぐっとせり上がってくる直哉が言う。

「それが逃げてる? それが俺なんだよ」

 どこまでも素直じゃない。でもこの言葉は、彼の真実の叫びだ。こんながんじがらめキャラだが、その分、彼が行動に移したときにはきっとすごいことになる。直哉には、そう感じさせる力強さがある。