返す必要がある奨学金を利用したものの、予定どおり返していくのが難しい状況になる方がいます。奨学金を返済できなかった場合、どんな事態に陥るのでしょうか。
奨学金が返せない
Aさんは「貸与型奨学金」と呼ばれる、卒業後に返済が必要なタイプの奨学金を利用して大学に進学しました。
毎月8万円の貸与を受けて大学4年間を過ごしたため、返済が必要な金額は400万円近くになります。返済が始まってからは、およそ1万7,000円ずつ40代前半まで毎月支払い続けるというプランでした。
学生時代のAさんは「就職したら難なく返していけるだろう」と判断していましたが、思わぬ事態が起きます。就活に失敗し、しかも新型コロナの影響まで受け、アルバイトで得ていた手取り月17万円の収入は14万円になりました。
3万円のダウンでも、毎月ギリギリのラインで1人暮らし生活を送っていたAさんにとっては大打撃です。金銭的にも精神的にもつらい生活をしばらく続けているうちに、奨学金の返済も滞るようになっていきました。
奨学金を滞納したときに起こること
奨学金を滞納すると、次のようなことが起こります。
・支払催促の電話がかかってくる
・通常の返済分とは別に「延滞金」の支払いを求められる
・連帯保証人や保証人に連絡が行く
・延滞履歴が信用情報機関に登録され、ローン審査などに通過できなくなる
早めに対応しないとどんどん事態は悪化していきます。最終的に、給与や財産を差し押さえられたり、返済できずに自己破産したりする人もいます。
奨学金の返済が難しいときは
奨学金の返済が難しい場合、手続きすれば以下のような対応をしてもらえる場合があります。
・減額……1回あたりの返済額を少なくする
・猶予……返済を待ってもらう
・免除……返済しなくてよくなる
放置したり1人で抱え込んだりせず、奨学金を借りている団体に連絡・相談してみましょう。
返済が難しいときは相談しよう
日本学生支援機構によると、2020年3月時点で奨学金の返済が必要な人は約444万人いて、そのうち3ヵ月以上延滞している人は約15万人(約3%)います。
特に近年は新型コロナの影響もあり、急激に家計状況が悪化するケースも少なくありません。返済できなくなる可能性は誰にでもあります。困ったらまずは相談、と覚えておきましょう。
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
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