◆日本にとどまらない規格外の存在
あまりにもかっこいいなと感じたミュージックビデオがある。インドで撮影された「grace」(2022年リリース)。冒頭、顔を洗い、縄編みの寝椅子に寝転がり、靴をころっと脱ぎ捨てる。眼鏡を外し、眩しそうに青空を見つめる。
軽快なメロディと藤井のさりげないビューティーが一致した奇跡的な映像だった。一方でロケ地のインドからその強い信仰心が話題になったサイババからの影響など、2023年初めの炎上が記憶に新しい。
サイババの教えを自曲に込めていたことがステルス布教だと問題視されたのだ。う~ん、でも別に筆者はそれが明白なステルス布教だとは思わないのだが、要するに藤井風は、日本にとどまらない規格外の存在だということではないだろうか。
実際、彼の華々しいデビューは、1998年に「Automatic/time will tell」でデビューし、空前の大ヒットを記録した宇多田ヒカルにたとえられることがある。それほど稀有な逸材であること、これだけは紛れもない真実なのだ。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu