初回がいきなり「桶狭間の戦い」というのはあまりに唐突で、びっくりしたのは筆者だけではないでしょうが、脚本の古沢良太さんによると「波乱万丈で、ピンチピンチの連続の人生」のドラマとなるそうで、そうした特色が第1回から明らかになりそうです。通常の大河ドラマ、特に『篤姫』以降では「主人公の子供時代を(子役の俳優を使って)丁寧に描く」のが通例でしたが、今回はそういうわけではなさそうですね。

 「桶狭間の戦い」の時、徳川家康は数えで19歳です。しかし、すでに6歳から13年間に及ぶ人質生活を送っている“プロの苦労人”ですし、16歳で最初の正室である瀬名姫と(今川家から絶対に断れない形で押し付けられて)結婚しているし、子どもまでいるヤングパパでもあります。

 戦国時代の人生は、現代とは比べ物にならないスピード感で進んでいたとはいえ、初回から情報がてんこ盛り。はたして一般視聴者はついていけるのか……という不安がありますよね。徳川家康という人物は大河ドラマの常連といってもよい人物ですが、その人生が真正面から取り上げられることは、近年では珍しいからです。

 脚本の古沢さんによると、歴史が好きな人も、そうではない人も楽しめる内容とのことですが、『どうする家康』は、時系列に沿って展開していく物語であることが多い通例の大河の伝統を覆し、事実を大幅にカットし、大きな事件と事件とを結び、必要とあらば、回想シーンで情報を補足する作りになるのかもしれません。