「下院の共和党指導部は、ロシアの勝利を後押ししたと非難されてもいいのか」そうマリナウスキーはいう。

「議会で先送りになっても支障がない物事は多い。たとえある日に敗れても、それを乗り越え、後日に再び戦えればいい。しかし、今のウクライナには後日まで待つ余裕がない」

 もしウクライナ戦争がこのまま長期化したり、敗れた場合には、ワシントンのシンクタンク戦争研究所(ISW)の昨年12月の予測によれば、悲惨な結果が待っているそうである。

 ウクライナが敗れれば、NATO圏の国境に沿う黒海から北極海に至る地域まで、ロシア軍の接近を許すことになる。

 しかもロシア軍はウクライナ侵攻前より規模を拡大し、戦闘経験も積んでいる。

 つまり、米軍のステルス機にしか突破できない高度な防空システムが必要になり、中国に対する抑止力が手薄になるというのである。

 マリナウスキーは「ウクライナの戦いは、アメリカにとっての戦いだ」という。

「われわれはプーチンの勝利を見たくない。ウクライナとアメリカ、そして同盟諸国がこの戦争を今後1年以内に望ましい形で終結させられるかは、ウクライナ支援法案が成立するかどうかに懸かっている」

 EUからの500億ユーロの支援策については、EU内でプーチンの唯一の盟友であるハンガリーのオルバン・ビクトル首相が拒否権を行使していたが、2月に入ってようやく合意にこぎ着けたというのだが。

 バイデンは何としてでもウクライナ支援のための予算を早急に通し、ウクライナを支援しなければ、その被害はウクライナだけにとどまらない。

 だが、このところ判断力に陰りが出ていると指摘されているバイデンに、それを期待するのは無理なのではないだろうか。

 朝日新聞(2月1日付)に気になるコラムがあった。

 ニューヨーク・タイムズのコラムニストのニコラス・クリストフの一文である。

「すでにあちこちで危機が起きている世界で、さらにもう一つの危機がありそうだ。北朝鮮が極めて異常な行動をとっており、一部の経験豊富なアナリストは、韓国、そしてもしかすると日本やグアムへの奇襲攻撃を準備しているのではないかと懸念している。