厚生年金基金は、会社員のための上乗せ年金の1つとして会社が運用する年金制度ですが、今では新規に設立することができず、事実上廃止されることとなりました。 今回は現在厚生年金基金に加入している人や、昔加入していた人の年金がどうなるのか、その受給方法まで紹介します。
厚生年金基金とは
日本の年金制度の仕組み
日本の年金制度は3階建ての構造になっています。1階部分は国民全員が加入する「国民年金」、2階部分は職業によって上乗せ給付が行われる「厚生年金」です。そして、3階部分の年金は「企業年金」です。 1、2階部分は国が行う「公的年金」と言われているのに対して、3階部分は会社がこの制度を採用していなければ加入することはできません。 ちなみに、「厚生年金基金」は「厚生年金」と名前が似ていますが、3階部分に当たる全く異なる年金です。
厚生年金基金は廃止された?
厚生年金基金が他の企業年金と異なる点は、2階部分の「厚生年金」の給付を一部代行し、プラス会社が独自に上乗せ給付を行っている点です。 しかし、社会情勢の低迷などで、上乗せ給付ができないどころか、代行部分の積立不足まで生じるようになりました。代行部分はそもそも会社員であれば加入しなければならない公的年金なので、会社がこの部分を払えないと公的年金に不平等が生じてしまいます。 このような問題を受け、厚生年金基金の存続の基準が厳しく見直された結果、2014年4月以降は新規に厚生年金基金を設立することができなくなりました。そして、今ある基金は解散するか、多くが確定給付企業年金へ移行されました。
今まで掛けてきた年金はどうなる?
では、これまで厚生年金基金に掛けてきたお金はどうなるのでしょうか。前述の通り、基金は解散するか別の企業年金(確定給付企業年金)に移行されています。
日本年金機構は「平成26年3月31日までに厚生年金基金を脱退した人」については、企業年金連合会から年金給付が行われる、と公表しています。
平成26年3月31日までに厚生年金基金を短期間で脱退したいわゆる「中途脱退者」(注)に対する年金給付、および同日までに解散した厚生年金基金加入員に対する年金給付(その方が老齢厚生年金の受給権を取得した場合に限ります)は、企業年金連合会から支給されます。
出展:日本年金機構「厚生年金基金加入期間がある方の年金」