今週は目立ったスクープはなく、順位なしとする。早速いこう。

 世界的指揮者であった小澤征爾が亡くなり、多くの追悼番組が組まれている。

 意外に知られていないが、小澤というのはどんな家庭で育ってきたのだろう。

 征爾からみて次兄の俊夫(93)はドイツ文学者、甥の小沢健二(55)はミュージシャン、長女の征良(52)はエッセイスト、長男の征悦(49)は俳優である。

 ノンション作家の石井妙子は小澤家のルーツについてこう語る。

「今でこそ華麗なる一族と称される小澤家ですが、古くからの名家ではありません。小澤征爾さんの父の開作さんは、1898年、現在の山梨県西八代郡市川三郷町の貧しい農家に生まれました。23~24歳の頃、新天地を求めて中国の大連にわたり、大陸浪人のはしりのような生活を送ったのです」

 その後開作は、満州国で東アジア民族が対等に暮らす「五族協和」の理想に燃えて、政治活動に勤しむが軍部から疎まれて退去勧告を出されてしまったという。

「1943年に帰国してからは厳しい暮らし向きだったそうです。しかし、幼少期から楽才の片鱗を見せていた征爾さんのために、親戚の家から3日間かけて、リヤカーでピアノを運んだり、苦しい生活の中で私立の成城学園中学に通わせたりしてあげたのです」(同)

 こうした父の計らいで音楽の才能を開花させた征爾は、23歳で貨物船に単身乗り込み、フランスにわたって以降、持ち前の物怖じしない明るい性格と、たゆまぬ努力によって、世界へと羽ばたいていったというのである。

「開作さんと征爾さんに共通しているのは、貧しさや逆境を物ともしない反骨精神でしょう。無謀にも海外に飛び出し理想を追い求めるあたりが、やはり親子だなと思います」(同)

 そうした無謀、反骨は、子どもたちに伝わっているのだろうか。