追納する

過去に何らかの理由で国民年金の免除を受けている場合、後から納めることで、年金額を増やすことができます。追納はいつの分のものかで異なりますが、おおよそ1ヶ月あたり1万5,000円~1万7,000円弱です。

ただし追納できるのは過去10年分までという点に注意しましょう。また仮にすべて払って40年間分の年金額をきちんと納めても、最大で年間79万5,000円(令和5年度の場合)しか受け取れません。

つまり、追納だけで月10万円以上というのはなかなか難しいのが現状です。

では、他にできることはあるのでしょうか?

任意加入する

国民年金保険料の納付期間が40年に満たない場合、60歳以降も任意で加入することができます。ただし任意加入するためには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 日本国内に住所がある
  • 年齢が60~65歳
  • 国民年金の繰上げ支給を受けていない
  • 20歳以上60歳未満までの保険料納付月数が40年(480ヶ月未満)
  • 厚生年金保険、共済組合などに加入していない

しかし任意加入をしても、追納と同様、年間79万5,000円以上にすることはできません。

繰下げ受給

繰下げ受給とは年金を65歳から受け取らず、66歳以上75歳未満で受け取り始める制度のことです。年金を1ヶ月遅らせると、受け取れる年金が0.7%増額します。

仮に受け取れる公的年金が79万5,000円の方であれば、約6年1ヶ月遅らせて71歳1ヶ月ころから受け取れば、月10万円を超える計算です。

子供が成長したら働く

結論、将来の公的年金を月10万円以上にするためには、年金の受け取り開始年齢を遅らせるか、働いて社会保険料を納める以外に有効な選択肢はありません。

1つモデルケースを紹介すると、仮に20歳から30歳まで会社員や公務員として働き、専業主婦となった女性が、50歳から再び働き始めて65歳まで年収200万円で働けば、月10万円に到達できる計算です。

2023年10月より年収106万円と年収130万円の壁を越えても手取り収入が減らない対策が取られています。より公的年金額を増やしたい方は、受け取りまで働くことを検討してみましょう。

文・金子賢司(ファイナンシャル・プランナー) 立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、FPとして活動を開始。個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。