いざ貯蓄を始めようと意気込んでも、何から始めたらいいかわからないという人は多いでしょう。就職して新しい仲間が増え、知識や経験を蓄えていく20代はどうしてもお金のかかる時期です。その一方で、将来に備えて本格的に貯蓄をスタートするのにぴったりのタイミングでもあります。この記事では20代から貯蓄を始める必要性や、貯蓄をはじめとした賢い資産形成について解説していきます。
目次
- どうして、20代から貯蓄が重要なの?
- 20代の平均年収はいくら?
- みんなはいくら貯蓄している?20代の平均貯蓄額
- 貯蓄に失敗してしまう3つの理由
- 貯蓄だけじゃない!賢い資産形成はどれ?
- 20代から資産形成を始めよう!
どうして、20代から貯蓄が重要なの?
会社に勤め、がんばって働いて手にしたお給料ですから、せっかくなら自分の好きなことに使いたいという人が大半でしょう。「20代のうちから貯蓄を始めるなんて、早すぎるのでは?」と思う人もいるかもしれませんね。
もちろん、自分で稼いだお金を使って生活を豊かにしていくことも大切ですが、20代の今だからこそ貯蓄をスタートしたい理由があります。
お金への自由度が高く、貯めやすい時期だから
まだ結婚や子育てをしていない人も多い20代のうちは、稼いだお金をどう使うか、ある程度は自由に決めることができますね。収入は多くなくても毎月の貯蓄額を自分で設定すれば、少しずつ資産を増やしていくことができるでしょう。
生活費や交際費などとのバランスを考慮しながら、どれくらいの金額であれば無理なく貯蓄ができるか、一度考えてみるとよいでしょう。
将来に向けて、貯蓄の習慣を身に付けることができるから
長い人生の中で、お金をどう“やり繰り”するかは、日々の生活を豊かにするためのポイントとなります。お金を貯めること、そして増やすことに関心を持ち、早い時期からこれを習慣として身に付けておけば、自分の人生をより豊かにできるでしょう。
マイカーや住宅の購入、結婚、出産、子育てなど、これから起こるさまざまなライフイベントに備えて、20代から貯蓄の習慣を身に付けておいて損はないはず。しっかりと貯蓄をして手元にお金があると、心の余裕にもつながりますよ。
20代の平均年収はいくら?
貯蓄をスタートするにあたっては、まず自分の年収について振り返りましょう。年収に見合わない貯蓄は長続きせず、生活にも支障をきたしてしまいます。
では、20代の一般的な平均年収は一体どれくらいなのでしょうか。
国税庁の「民間給与実態統計調査」(2018年分)によれば、就職して間もない20歳から24歳までの平均年収は男性が284万円、女性が249万円となっています。また、就職して数年経過した25歳から29歳の平均年収は、男性が404万円、女性が326万円という結果が出ています。
年収額は、性別や住んでいる地域・業種によっても異なりますので、自分の年収によって適切な貯蓄額が異なるということを頭に留めておきましょう。
みんなはいくら貯蓄している?20代の平均貯蓄額
平均年収を確認したところで、次は20代の平均貯蓄額を見ていきましょう。
ここでは、金融広報中央委員会が2019年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」の金融資産保有額を参考にします。
この調査の結果、20代の金融資産保有額の平均値は106万円でした(株式や投資信託など金融資産を保有する世帯と、保有しない世帯を含みます)。
20代の平均値が約100万円!?と驚いた人もいるかもしれませんね。一方で、中央値はいくらになるでしょうか。中央値とは、データを最小値から順番に並べたとき中央に位置する値のことです。
ごく少数でも、(例えば1,000万円などの)飛び抜けた額の貯蓄をしている人がいると、平均値が上がってしまい全体の傾向がうまく表せなくなってしまうことがあります。中央値はこうした極端な値の影響を受けないため、実情をつかむのに適しているといわれています。
20代の金融資産保有額の中央値は5万円となっていることから、しっかりと貯蓄ができているのはごく一部の人だけで、している人としていない人の貯蓄の差が大きいということがわかります。
まだ年収が多くない20代のうちから、まとまった金額の貯蓄をするのは簡単なことではなさそうです。せっかく貯蓄を始めても、自分に適していない金額を設定してしまうと生活が苦しくなって行き詰まってしまうこともあるでしょう。無理なく貯蓄できる方法を考えていく必要がありそうですね。
貯蓄に失敗してしまう3つの理由
前述の通り、同じ年代でもコツコツと目標金額を貯蓄できる人もいれば、なかなか貯まらないという人もいます。なぜこのような差が生まれるのでしょうか?20代の人が貯蓄を始めたときに、失敗しがちな理由を考えてみましょう。
1. 一人暮らしにより出費が増えるから
学生のうちは実家暮らしでも、社会人になって「一人暮らしを始めた」という人もいるでしょう。実家暮らしでは支払っていなかった家賃のほか、食費、光熱費、通信費、日用品費など一人暮らしには何かとお金がかかります。こういった出費が重なり、貯蓄する余裕がなくなってしまう場合が考えられます。
まずはこれらの支出を正確に把握しましょう。そのためには家計簿アプリなどを使って、何にどれくらいお金を使っているのか、支出を可視化することが大切です。
2. あらかじめ貯蓄額を決めていなかったから
毎月の給料から家賃や生活費などを支払い「残った分を貯蓄しよう」と考えている人はなかなかお金が増えません。あらかじめ「月に●万円を貯蓄する」という金額を設定し、収入からあらかじめその金額を引いておくことが大切です。
また、「まずは給料額の3ヵ月分を貯める」など短期間で達成できそうな目標値を決めておくことも、貯蓄へのモチベーションが高まるでしょう。達成したら次はもう少し大きな金額を目標値にして、着実にお金を増やしていきましょう。
3. ライフイベントや仲間との交際が増えるから
20代の貯蓄で失敗しがちな理由の一つには、ライフイベントや人との交流の機会が増えることもあるでしょう。結婚をすれば「引っ越し費用」や「挙式費用」などでまとまったお金が必要になるほか、親しい人が結婚、出産をすることでお祝いを渡す機会も増えていきますね。
また、社会人になれば職場での人間関係も広がります。先輩や上司から飲み会に誘われたり、会社の歓送迎会が開かれたり、交際費の支出は意外と多いものです。あらかじめ1ヵ月の交際費を試算してお金をとり分けておくと同時に、ときには誘いを上手に断ることも大切です。
貯蓄だけじゃない!賢い資産形成はどれ?
なかなか貯蓄が増えないという人は積立方式の金融商品などを活用して、賢くお金を増やしていきましょう。20代のうちから計画的に積立を行うことで、将来の見通しも立てやすくなる上、お金に関する知識を培うこともできますよ。ここでは、資産形成の一つとして積立商品の一例を見ていきましょう。
積立定期預金
毎月一定額を積み立てて、目標金額を目指していく定期預金。利用する銀行によっても異なりますが、5,000円以上の場合は1,000円単位、1万円以上の場合は1円単位で毎月の積立額を設定できる銀行が多いようです。
契約期間も銀行によって、6ヵ月以上10年以内といったように期間が決まっている場合が多いので確認してみましょう。
一定の金額を計画的に毎月コツコツ貯めることで、マイカー購入や旅行費用、あるいは住宅購入費の一部に充てたい人など、目標を持って確実に貯蓄したい人に向いています。
つみたてNISA
2018年からスタートした「つみたてNISA」は、少額・長期・積立の投資を支援するための非課税制度です。年間40万円までの投資が非課税となることが大きな特徴です。
また少額から投資できることから、元手の少ない若いうちから始められるのもポイントです。インターネットバンキングなどを利用すれば、月額1,000円程度から投資できます。
資産運用について知識がなくても、自分に合った商品を紹介してもらえる金融機関やサービスもありますよ。「コストが低い」「値動きが分かりやすい」「リスクを分散させた商品」など、つみたてNISAの対象となるファンドにはあらかじめ条件が設けられているので、初心者でも取り組みやすいとされています。
iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)は、任意で加入できる私的年金制度のことです。自分で運用方法を選んで掛金を運用することができます。掛金の拠出、運用益や給付金を受け取る際などに、税制上の優遇措置を受けられる(=節税となる)のが特徴です。
一定の年齢になるまで掛金を拠出したら、それ以降は老齢給付金を受け取ることができます。原則として60歳になるまでは資産を引き出すことができませんが、20代の頃から老後の資金について目を向けることで、より安心してライフプランを立てることができるはずです。
税制上のメリットを受けながら、コツコツと老後の資金を貯めたいと考える人に向いています。
外貨預金積立
外貨預金積立は、外国の通貨と円を両替して外国の通貨で預金する仕組みです。外貨によっては、日本円の預金よりも高金利で運用できるのが特徴です。
金融機関によっては、1,000円程度の少額から積み立てを始めることができることから、初心者の人にもハードルは比較的低いといえます。
為替変動のリスクを抑えるために、購入する通貨を分散する方法もあります。銀行によって取り扱っている通貨の種類や商品の特徴が異なるので比較してみましょう。
20代から資産形成を始めよう!
20代は貯蓄を始めるのにぴったりのタイミングです。コツコツとお金を貯めることで将来に対する安心感が生まれ、より自分の理想に合った未来に向かって歩むことができるはず。
積立商品をリサーチしてお金に関する知識を深めていくことは、将来の資産形成の第一歩にもなります。また、投資商品にはいずれも元本割れのリスクがあることも頭に入れておきましょう。
まずは自分の収入と支出をもとに、毎月どの程度であれば貯蓄などの資産形成が可能か考えるところから始めてみましょう。
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