ゲド戦記の秘密

【ネタバレ】アニメ映画『ゲド戦記』あらすじや伝えたいメッセージを解説!
(画像=『Sorte plus』より引用)

映画「ゲド戦記」は、一度見ただけでは理解し切ることのできないほど奥の深くメッセージ性の強い作品です。そんなゲド戦記には、様々な秘密が隠されています。ここからは、一度見た方でも楽しめるゲド戦記の秘密について迫ります。ゲド戦記についてより理解を深めたい方は必見です。

秘密①ハイタカの傷

【ネタバレ】アニメ映画『ゲド戦記』あらすじや伝えたいメッセージを解説!
(画像=『Sorte plus』より引用)

ハイタカはかつて、ローク魔法学校が始まって以来の秀才と言われるほどの力を持った優等生でした。村唯一の呪い師であった彼の叔母が、ハイタカの才能に気が付き魔術を教えたところ、メキメキと力をつけていったのです。名だたる魔法使いが通うローク魔法学校でも、彼の力は本物でした。

そんなハイタカは、そのうち自分自身の力を過信し自惚れるようになります。そこで、使ってはいけないとされていた禁忌の呪文、死者の霊を呼び出す術を使ってしまうのです。しかしそれは、ハイタカの手に負えるものではありませんでした。

術を使ったことによって、自分自身の影に追われるようになってしまったハイタカ。果てには自身の影に襲われてしまいます。

ハイタカの傷は、禁術の呼び出しに失敗してしまった時にできてしまったものなのです。これ以降、ハイタカは魔法を無闇に使わなくなり、大賢人への道を歩むこととなります。

秘密②テルーの傷

【ネタバレ】アニメ映画『ゲド戦記』あらすじや伝えたいメッセージを解説!
(画像=『Sorte plus』より引用)

ハイタカの他にもう1人、大きな傷を負った人物として描かれているのがテルーです。テルーの傷は、作中で彼女が言及している通り、過去に親から虐待を受けた際にできたものです。しかし、原作ではテルーの傷はよりひどいものとして登場します。

映画では、顔の左半分に大きな火傷跡が残っている姿で描かれていますが、原作では右半身全てが火傷で覆われており、さらに片目は失われているという凄惨な姿で登場するのです。

「命を大切にしない奴は大嫌いだ」と言い切るテルーですが、このような酷い傷を負ってしまうことになるような暗い過去があることを考えると、より重みのある発言に聞こえます。

秘密③ハジアの正体は?

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(画像=『Sorte plus』より引用)

ハジアとは、非常に危険な麻薬のことで”ハジアの実”として流通しています。一見果物の葡萄のように美味しそうに見えるハジアの実ですが、一度口にすると精神・肉体ともに崩壊してしまい、やがては死に至ってしまうという恐ろしい薬物です。

中毒性が高く、作中ではハジアによって精神や肉体を蝕まれてしまった人々が、路地裏でぐったりとしている様子が描かれています。廃人となった彼らは、誰にも気づかれずに野垂れ死にをするという悲惨な運命を辿ります。

ハジアの実にはどのような中毒性のある物質が含まれているのかは分かりませんが、現実の世界にある中毒性の高いヘロインのような原料が含まれているのかもしれません。もしくは、ハジア独自の物質が含まれており、それが様々な症状を引き起こしているとも考えられます。

辛い時に何かに縋りたくなる人間の心の弱さから、手を出してしまう人の多いハジア。その流行により、ホートタウンは廃人で溢れてしまいます。ハイタカは「ワシらはそんなものに頼るつもりはない」として断固として拒絶していますが、彼のように強くあり続けることができる人は多くないでしょう。

現実の世界にも蔓延る薬物中毒の怖さを描いているシーンとも捉えられ、問題の根深さを深く考えさせられます。

秘密④真の名とは?

【ネタバレ】アニメ映画『ゲド戦記』あらすじや伝えたいメッセージを解説!
(画像=『Sorte plus』より引用)

ゲド戦記には、「真の名」という概念が存在します。真の名とは、親からつけられた名前とはまた別にあるもので、本名とは異なります。それは物自体が生まれながらにして持っている名前であり、その名前を知ることで魔法使いは対象をコントロールすることができます。

そのため、真の名を他人に知られることは非常に危険であり、本当に大切な相手にしか明かしません。作中ではクモがアシタカの名を引き出す場面がありますが、これも彼の心をコントロールするためです。

真の名は自分では知ることができませんが、成人して魔法使いや村の呪い師に見てもらうことで、それを知ることができます。

秘密⑤クモがハイタカを恨んでいる理由

【ネタバレ】アニメ映画『ゲド戦記』あらすじや伝えたいメッセージを解説!
(画像=『Sorte plus』より引用)

クモとハイタカは、かつては同じローク魔法学校で学んだ同志でした。禁じられた魔法を使ってしまったことで、彼はロークの賢人の座から追われてしまうこととなりますが、一方のハイタカは大賢人となりました。クモは自分が賢人の座を追われたのはハイタカのせいだと恨んでいます。

いよいよクモが因縁のハイタカとの対決をすることになった時、「生死の了解を分かつ扉をこじ開けてやる」と宣言します。クモは永遠の命を望んでいたのです。そのせいで、地上界ではあらゆる天災が巻き起こり、世界の均衡は崩れていました。

最後まで生への執着を捨てきれなかったクモは、最後は怯える様子を見せながらもテルーの首を締め続けようとします。結局、永遠の命を手に入れることなく凄惨な最後を遂げたクモ。悪役の最期らしく、消滅してしまいました。