アニメ映画「ゲド戦記」をご覧になったことはありますか?この記事では、ネタバレも含めながらアニメ映画「ゲド戦記」のあらすじや伝えたいメッセージをご紹介します。難解に思えるストーリーの裏には何が隠されているのでしょうか。ゲド戦記のファンの方が更に知識を深めるために、また初めて鑑賞される方が事前に予習をしておくために、是非参考にしてみてください。
ゲド戦記とは
2006年7月9日に公開された、スタジオジブリ制作のアニメーション映画「ゲド戦記」。宮崎駿監督の息子である宮崎吾朗監督の初監督作品です。原作はアーシュラ・K・ル=グウィンによる同名小説であり、長編小説の第3巻「さいはての島」のストーリーを元にして映画化されています。
また、映画「ゲド戦記」はこのストーリーの他に、宮崎駿監督が原作の絵物語「シュナの旅」が原案となっています。公開当時から話題となった映画「ゲド戦記」は、興行収入76.9億円を記録しました。この記録は、2006年時点で邦画の興行収入の中では第一位であり、いかに話題作であったかが窺えます。
ゲド戦記のネタバレあらすじ
ここからは、ゲド戦記のあらすじをネタバレを含めてご紹介します。未視聴の方も、最初にあらすじを知っておくことで映画を理解しやすくなるので、ネタバレを気にしない場合は参考にしていただくことをおすすめします。
今までに鑑賞したことのある方は、よりストーリーへの理解を深めるために再度あらすじに目を通してみてください。
ゲド戦記あらすじ①起
主人公は、エンラッド国の王子であるアレン。非常に真面目な性格の青年で、世間に蔓延る悪に辟易としていました。そのうち、彼は悪について思い悩むあまり精神を病んでしまいます。遂に自分の影に追われるようになったアレンは、精神を病むあまり実の父を殺してしまいます。
正気を取り戻したアレンは怖くなり、父の魔法の剣を持ち自国から逃亡する途中、獣に襲われてしまいます。その窮地を魔法使いと名乗るハイタカという男に助けられ、彼と共にホート・タウンという街を目指すことになります。
ゲド戦記あらすじ②承
ホート・タウンに着いたアレンとハイタカは、別行動をすることにします。1人で街を歩いていたアレンでしたが、道の途中でテルーという女の子が人攫いのウサギに誘拐されそうになっているところを目撃します。
王子として剣技を身につけていたアレンは、その特技を活かして彼女のことを救いますが、その凶暴な姿を見たテルーは彼に嫌悪感を抱くようになってしまいます。その夜のこと、今度はアレンが人攫いのウサギに誘拐されてしまいます。
拘束されて奴隷として売られてしまいそうになったアレンでしたが、その窮地を再びハイタカが救います。再度行動を共にすることにした2人は、ハイタカの幼馴染であり信頼のおける人物、テナーの元へ身を寄せます。
テナーの家に行くと、街で救った少女のテルーが住んでおり、アレンは彼女と再会することになります。ハイタカとアレンの2人はしばらくの間テナーの家に泊まることになり、アレンは畑仕事を手伝うようになります。
ある日の夕食時、外にいるテナーを呼びに行ったアレンは、彼女が歌っているのを聴いて涙を流してしまいます。そんな彼を見たテナーは、彼の心の傷に気がつき、それが自分と重なるものであると感じます。アレンへの非礼を詫びたテナーは、徐々にアレンに歩み寄って行きます。
ゲド戦記あらすじ③転
情報を探るハイタカは、この世界の均衡を崩しているのが魔法使いのクモであることに気が付きます。ハイタカとクモは、過去に深い因縁があり恨み合っていました。そのうちにクモもハイタカが街に現れたことを知り、アレンの影を利用してアレンを自身の城に連れ帰ってしまいます。
アレンを誘導し、彼の本当の名前を知ったクモはアレンのことを自由に操れるようになります。一方その頃、ウサギはテナーの家に押し入り、テナーのことを誘拐してしまいました。このことをハイタカに伝えるようにとテルーに伝え、去ってしまったウサギ。
テルーは事情をハイタカに伝え、ハイタカは魔法を使ってクモの城への侵入に成功します。しかし、これこそがクモの罠だったのでした。アレンと対峙したハイタカでしたが、魔法が上手く使えないようになり、テナーと一緒に閉じ込められてしまいます。
ゲド戦記あらすじ④結
強力な魔力を武器にアレンたちを殺そうとするクモ。城を破壊しながら逃げていくクモを、アレンは全力で追いかけます。しかし、クモはなんとテルーのことを殺してしまうのです。
呆然とするアレンでしたが、その時「待ちなさい」とクモを制する声が聞こえます。そこには立派なドラゴンがいました。そしてそれは、死んだテルーがドラゴンとして蘇った姿だったのです。
テルーの化けたドラゴンの吹いた炎によって、クモは息絶えます。永遠の命を欲したクモが、世界の生と死の扉を開けてしまうというタブーを犯してしまったために、均衡を崩れてしまっていたのです。
やがて世界には平和が訪れ、アレンは自身の犯した罪を償うために帰国することに決めます。テルーとテナーに別れを告げた彼は、ハイタカと旅立っていくのでした。
原作との違い
原作ではハイタカが主人公であるのに対し、映画ではアレンが主人公です。また、映画で表現があるような父親殺しは、原作には存在しません。そのためハイタカとアレンの出会い方も異なり、映画では旅に出た途中に出会うのに対し、原作では国王から命じられたアレンがハイタカに会いに行きます。
その他、アレンの影について、映画ではアレンの心の光であったのに対し、原作ではその反対に闇を意味していました。また、原作ではテルーの喉は焼き潰れてしまっており、映画のような唄を歌うことはできませんでした。