また、その21年『M-1』で優勝した錦鯉は2人とも吉本の出身だ。渡辺隆は東京NSC5期に在籍し、長谷川雅紀は北海道時代に札幌吉本でタカアンドトシと同じ釜の飯を食う仲だった。

 彼ら“元・吉本”芸人に共通する強みは、2つ以上のコミュニティを持っていることだ。吉本芸人の多い現場では吉本時代のエピソードが使えるし、東京地下ライブのいわゆる“他事務所ライブ”での同世代のつながりも深い。テレビバラエティの収録はチームプレーだといわれるが、彼らはどんなチームでも役割を果たせるバックグラウンドを持っているのだ。

 無論、彼らとて最初から“元・吉本”芸人になろうとして吉本の門を叩いたわけではない。一度は挫折を経験しているということだ。その挫折の経験もまた、彼らの強みであることは間違いないだろう。

(文=新越谷ノリヲ)