そうした中、今回、YOASOBIの「アイドル」が「優秀作品賞」の選考から漏れたことで、こうした見方が現実となった格好だ。

「『レコ大』サイドとしても中継番組の高視聴率獲得のために何とかYOASOBIを引っ張り出そうと水面下で交渉を続けていたようです。YOASOBIのレーベルはレコ大とは何かと縁の深いソニー・ミュージックエンタテインメントということもあり、大賞受賞=生歌披露の可能性も取り沙汰されていたのですが、アーティストサイドが乗り気ではなかったんでしょう」(前出のスポーツ紙の音楽担当記者)

「レコ大」といえば、1970年代から1980年代には『NHK紅白歌合戦』と並び称される大晦日の国民的音楽番組として認知されていた。しかし、2016年に賞の買収疑惑を「週刊文春」(文藝春秋)が報じ、さらに翌年には同誌でかつてレコード大賞の最高責任者であった作曲家の叶弦大が「大手芸能事務所バーニングプロダクション周防郁雄社長がレコ大を私物化している」と暴露。これにより権威は失墜した格好だ。

 その後も、2017年には星野源の「恋」やRADWIMPSの「前前前世」が、2018年には米津玄師の「Lemon」やDA PUMPの「U.S.A.」がそれぞれ国民的ヒットなったものの、いずれも大賞には乃木坂46の楽曲が選ばれるなど、世間の印象とはかけ離れた選考が批判を浴びている。

 沢田研二の「勝手にしやがれ」が大賞を受賞した1977年には視聴率50.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録したが、昨年はワースト2位の10.7%にまで落ち込んでしまった。世間から「価値のない賞レース」と認識されれば、視聴率も1桁台……となりそうだ。音楽業界最大の賞レースとして知られる「レコ大」だが、それでも“旧態依然”でいるのだろうか。