◆加害者は“あやしい”ではない

丸太の上を歩く子供の足
 なぜ、子どもは初めて会った大人についていってしまうのでしょうか。

 まず加害者には、世間でイメージされるような“性犯罪者らしい雰囲気”がないことが大きな特徴です。身なりも清潔で、ニコニコしたやさしそうな出で立ちのために、街の風景に馴染んでいます。

 黒いサングラスにマスク、深くかぶった帽子にロングコート……といった明らかにあやしい格好の加害者はいません。そのため子どもも警戒心が緩み、声をかけられると思わず口をきいてしまうのです。

 そして加害者は、逮捕されやすい場所では絶対に加害行為に及びません。死角になりやすい、人目につかない環境をリサーチして、そこで犯行を重ねるのです。

 具体的には、商業施設のバリアフリートイレや公園のトイレです。映画館のトイレもとても広いので、奥の個室におびき出した、ということを加害者からヒアリングしたこともあります。トイレ内には防犯カメラはないので、彼らにとっては「やりたい放題」なわけです。