◆公家娘のマリッジブルー

 時は江戸時代。9代将軍・徳川家重(高橋克典)の治世だが、民の暮らしは困窮を極め、悪政からの脱却を江戸中が待望していた。そこへ、次期将軍・徳川家治の婚礼がちょうど重なる。

 人々が希望を託そうとするその人は、果たしてどれほどの人格者なのか。婚礼の相手である本作の主人公・倫子(小芝風花)は、公家の娘で、幼い頃に京の都から江戸へ連れてこられた。

 婚礼を前にしているというのに、彼女は家治のことを「冷たく、蛇のような目」と形容するではないか。そんな言葉がもしお耳にでも入れば……。令和版の大奥らしく、ここは公家娘のマリッジブルーとでもひとまず理解しておこうか。