●デメリット1:高額療養費の自己負担が増える
親が子どもの扶養に入ると、「高額療養費」の自己負担上限額が高くなり、医療費の自己負担が増える可能性があります。
高額療養費の自己負担上限額、所得によって変わります。実際は年金収入のみでも、扶養に入っていると「子どもの所得」が適用されます。
●デメリット2:親の介護保険料の負担が増える
65歳を超えた親は介護保険の第一号被保険者となるので、自身で介護保険料を負担します。しかし、介護保険料の金額は、世帯の収入金額で決まるため、子の収入が世帯収入に加わることになります。つまり、親が負担する介護保険料の負担が増える場合があるのです。
■扶養に入れるための要件
扶養は「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」があります。
税法上の扶養を受ける要件は、親の所得金額が48万円以下であることです。これにより、メリットの1つである「扶養者にかかる所得税・住民税の軽減」を受けることができます。
一方、「親の健康保険料の負担がなくなる」メリットを享受する場合は、以下の健康保険上の扶養の要件をすべて満たす必要があります。
・同居の場合、被扶養者が主に扶養者の収入で生活をしていること。別居の場合、被扶養者は扶養者の仕送りで生活をしていること ・被扶養者の収入が、同居の場合は扶養者の半分未満、別居の場合は仕送り額未満 ・被扶養者の年収が130万円未満、60歳以上または障害者の場合は180万円未満
■節税につながる場合も!
扶養親族にできるのは配偶者や子どもだけではありません。
親も扶養に入れれば節税につながる場合があるため、当てはまるかどうか確認してみましょう。ただし自身の判断で行わず、役所に必要な情報を伝えながら、慎重に手続きを進めるよう心がけてください。
文・金子賢司(ファイナンシャル・プランナー) 立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、FPとして活動を開始。個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。