20代の若手ビジネスパーソンにとってまだまだ先のこととは言え、老後の備えについて不安を感じる人もいるでしょう。少子高齢化や年金制度の破綻、老後2,000万円問題など、老後の生活に対して不安になるニュースを耳にしがち。そこで今回は、不安定な老後生活にならないように、国の年金制度をはじめ、今からでもできる貯蓄方法など、明るい未来に向けた取り組みを紹介します。

老後が不安……年金はちゃんともらえるの?

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老後に国から年金がもらえるのか気になるところ。まずは公的年金制度のポイントを押さえておきましょう。

年金に対し不安を感じている人は多い

少子高齢化が進むにつれて、実際に自分が年金を受給する年齢になったときに、本当にもらえるのか不安に感じる人は多いのではないでしょうか。原則として公的年金は、年金の制度が変わったり、国がなくなったりしない限りはもらえる予定ですが、支給額が減る可能性はあるかもしれません。

年金の受給が始まる60代はまだまだ働き盛り。老後の生活資金は公的年金だけに頼るのではなく、働けるうちにしっかり蓄えておくことで不安を減らせます。セカンドキャリアとして定年後にもできる仕事、長く働ける仕事を考えておくと安心できるでしょう。

支給開始年齢が引き上げになった

2000年に行われた法改正により、60歳になると支給されていた老齢厚生年金が段階的に65歳からの支給に引き上げられることになりました。男性の場合、2013年から2025年にわたって引き上げが行われ、女性の場合、2018年から2030年にわたって引き上げが行われます。

これにより、男性は1961年(昭和36年)4月2日以後の生まれ、女性は1966年(昭和41年)4月2日以後の生まれの人は、65歳で老齢厚生年金の受給開始となりました。

また、年金の受給開始年齢をさらに繰り下げるという動きもあり、75歳からの受給を可能にすることも検討が始まっています。

支給開始年齢が引き上げられたことにより、支給開始年齢ではなくても60歳以降であれば、老齢厚生年金の繰上げ受給が可能になりました。ただ、老齢厚生年金の繰上げ請求をした場合、老齢基礎年金の繰上げ請求も行う必要があります。請求した年齢に応じて年金額は少なくなり、減額された金額が一生続くので注意してください。

「老後2,000万円問題」と言われているけれど、実は……

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2019年には「老後2,000万円問題」が話題となりましたが実際はどうなのでしょう。老後2,000万円問題について見ていきましょう。

実は2,000万円が不足するわけではない

2019年6月、金融庁内の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した「高齢社会における資産形成・管理」に関する報告書が話題になりました。その内容は、老後の夫婦での生活資金は公的年金だけでは足りず「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる」というものでした。

本当に2,000万円も不足するのか、総務省の「2019年家計調査報告」を参考に試算してみましょう。夫 65歳以上,妻60 歳以上の夫婦のみの無職世帯について調べてみます。

夫婦の実収入(社会保障給付金など)23万7,659円
消費支出(食費など)23万9,947円
非消費支出(税金、社会保険料など)3万982円
不足分 3万3,270円

つまり、毎月約3万3,000円の不足分を貯蓄などで補わなければならない結果となっています。仮に65歳から30年生きたとして、約3万3,000円×12ヵ月×30年=約1,200万円の不足を貯蓄から補うという計算です。

老後2,000万円問題が話題になった2019年に提出された報告書は、「2017年家計調査報告」から計算されたものです。その報告書によると、毎月約5万4,000円の不足とのことでした。約5万4,000円×12ヵ月×30年=約2,000万円の不足という計算になります。

この結果から不足金額はこれからも変動すると予測されます。また、家の修理など大きな出費があったり、インフレが起ったり、不測の事態が起こるかもしれません。いずれにせよ、“備えあれば憂いなし”ということですね。

高齢者世帯の貯蓄額は約2,200万円

総務省統計局が公表している「世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高の推移(二人以上の世帯)」(2019年)によると、世帯主が60歳以上で無職の高齢世帯では貯蓄額は平均2,244万円になっています。

このくらいの貯蓄額があれば、趣味や旅行などにお金を使う、いわゆる「ゆとりある老後」を送ることができると思うかもしれません。

しかし、厚生労働省の「簡易生命表」(2019年)によると、男性の平均寿命は81.4歳、女性は87.5歳です。また、60歳の時点での男性の平均余命は約24年、女性は約29年となっています。

2,000万円以上の貯蓄があれば年金の不足分を補うことは可能でしょう。ただ、「人生100年時代」と言われるこれからの時代は、長く生きるほどお金は必要になるので、収入があるうちはしっかり貯蓄をしておきたいものです。