ところで、新聞とテレビは大きく扱わないが、北陸電力の志賀原発は主電源喪失、燃料プールから水が漏れていたと文春が報じている。

 志賀原発は地震発生後も堅牢そうな発電所の外観は一見、平時と何ら変わりないように見えた。

 北陸電力も地震発生後の1週間、「外部への放射能の影響はありません」と繰り返しアナウンスしてきた。だがそうではなかったというのである。

 政府の諮問機関である「原子力委員会」委員長代理を務めた長崎大学の鈴木達治郎教授はこういう。

「原子力規制庁や北陸電力による映像などの情報開示が乏しい中、大変な懸念を持って推移を見ています。二〇一一年の福島第一原発事故以降、原発にこれほどの危機が差し迫ったのは、間違いなく初めてのことでしょう」

 電源トラブルが起きていたというのである。

 全体841kVのうち、実に6割を占める500k Vもの外部電源を失っていたのだ。

「いわば“主電源”を失った状態と言えます。一刻も早く復旧することが必要です。原発では、電源の確保は何より重要なのです。福島では予備電源も含むすべての電源を失ったことから炉心溶融(メルトダウン)などの深刻な事故につながってしまった。今回は予備の電源が生きていたことから、危険な状態には至らずに済んでいるのです」(同)

 原発の敷地内では地震の爪痕が次々と見つかり、北陸電力が連日報告している。