不妊治療中の方であれば、一度は耳にしたことがある「着床前診断」。詳細についてはご存知で無い方も多いのでは?そこで本日は、着床前診断と一緒くたにされがちな出生前診断と比較しながら、着床前診断・出生前診断それぞれについてご紹介します。またこれら検査を受けるのに悩んでいるカップルに、遺伝カウンセリングについてもお伝えします。

不妊治療をしている人であれば、一度は耳にしたことがある「着床前診断」という検査名。なんとなくは聞いたことがあるけれど、その詳細についてはご存知でない方も多くいらっしゃることと思います。

そこで本日は、着床前診断と一緒くたにされがちな出生前診断と比較しながら、着床前診断・出生前診断それぞれについて詳しくご紹介します。またこれら検査を受けるか悩んでいるカップルにはファーストステップとして遺伝カウンセリングという方法も。最後まで読むことで、着床診断・出生前診断それぞれについて正しい知識を身に付けていただけるはずです◎

着床前診断とは?

『DRESSY』より引用
(画像=写真AC,『DRESSY』より引用)

着床前診断とは、体外で受精させた胚の染色体や遺伝子に対し検査を実施し、病気を持たない可能性が高い胚だけを選択し、子宮に移植して育てることを言います。

一緒くたにされがちな検査として出生前診断がありますが、着床前診断と出生前診断の大きな違いは検査を行うタイミングです。この着床前診断に関しては、妊娠前に行います。また誰でも簡単に受けられるというわけではありません◎


①医学的に重い遺伝性の病気が子どもに伝わる可能性を持っていること
②夫婦の染色体の形状変化が原因で流産を繰り返す

上記のいずれかに該当する場合、着床前診断を受けることができます。次に着床前診断で「できること」についてもご紹介します。

着床前診断でできることとは?

『DRESSY』より引用
(画像=pixabay.,『DRESSY』より引用)

着床前診断を行うことで、すでに分かっている特定の病気にかかっていない子どもを産むことができます。また着床前診断の結果などによって妊娠の継続を懸念することを未然に防ぐこともできます。

この着床前診断に関しては必ず妊娠前に行う診断なので、検査に十分な時間を掛けられるといった利点も。事前に検査を行うことで、次の妊娠での流産の割合を減らし、全体的な流産回数を減らしていくことにも繋がります。

流産は女性の心身に深い傷を作ることもあります。

『DRESSY』より引用
(画像=pixabay.,『DRESSY』より引用)

繰り返して流産を引き起こしてしまうと、女性の心だけで無く身体にも取り返しの付かない傷を作ってしまうこともあります。

特に流産に伴い掻爬手術を受けた場合、子宮内部に傷が生じることも。傷を繰り返すことで、なかには妊娠しずらい身体になってしまう女性もいらっしゃるので、流産を繰り返すようであれば、一度医師に着床前診断について相談してみるのもおすすめです◎

出生前診断について

『DRESSY』より引用
(画像=unsplash,『DRESSY』より引用)

では続いて、着床前診断と一緒くたにされがちな出生前診断についても詳しくご紹介します。そもそも出生前診断とは、妊娠中の胎児の状態や疾患の有無について調べる検査のことを言います。

出生前に胎児の状態を知っておくことで、最適な分娩方法や療育環境を用意することを目的に行われるこちらの検査ですが、近年では出生前にダウン症などに疾患が無いか調べるために検査を受けるカップルも増えています。

出生前診断種類

『DRESSY』より引用
(画像=unsplash,『DRESSY』より引用)

出生前診断には、非確定的検査(非侵襲的検査)と確定検査(侵襲的検査)の二種類があり、一般的に非確定的検査の方が母体への負担が少なく、流産リスクがない検査だと言われています。こちらはあくまで赤ちゃんの疾患の可能性を評価する検査となるので、もし検査の結果染色体異常が見られた場合は別途検査を受ける必要があります。

一方で確定検査は疾患の診断を確定させるために行う検査のことを言います。検査内容には羊水検査や絨毛検査などがあり、母体への負担が大きく、流産のリスクが伴います。

出生前診断を受ける人の割合

『DRESSY』より引用
(画像=写真AC,『DRESSY』より引用)

出生前診断の受診率は母体の年齢により異なります。具体的には以下をご参照くださいませ◎


●母体の年齢が35歳未満:17%
●母体の年齢が35歳以上:35%
●母体の年齢が40歳以上:60%

この背景には、ダウン症の子どもを妊娠する確率が大きく影響しています。母体の年齢が40歳を超えるとダウン症の子どもを妊娠する確率は100分の1の割合となっており、他人事ではありません。

母体の年齢が40歳を過ぎるとこういったリスクも高まることから事前に出生前診断を受ける方の割合も増加することが伺えます。

出生前診断陽性者の中絶率

『DRESSY』より引用
(画像=写真AC,『DRESSY』より引用)

また実際に出生前診断を受け、陽性判定を受けた方の中絶率は世界規模で見てもおおよそ90%だと言われています。この結果からも分かる通り、出産前に自分の子どもに重度の障害があることが分かると、ほとんどのカップルが残念ながら中絶という道を選んでいます。

一部では命の選別だとも言われている出生前診断。受ける・受けないは本人次第ですが、受けることそのものに悩む女性も少なくはないそうです。