転職活動をして、ようやく手にした内定。ですが中には、内定受諾の意思を書面で表さないうちは条件提示できないと言ってくる会社もあります。そんな時、どんな行動をするのが正解なのでしょうか? キャリアアドバイザーがお答えします。
Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
まだまだ日中暑い日が続いていますが、帰宅時等には秋の虫の音が聞こえるようになりました。季節は確実に進んでいるのだなぁと感じる瞬間です。
これからは、秋の果物が美味しくなる時期ですね。秋の味覚『旬』を味わって今年もヘルシーに過ごしていきましょう。
さて、今回のテーマですが、転職活動中の友人から寄せられた相談内容について、彼女の許可を得た上で、こちらで情報共有させていただければと思います。
「内定受諾の意思を書面で表さないうちは条件提示できないと言われた」
それは、とある会社の社長面接の席上、【内定】だと言われ、「もし、本当に入社する気持ちがあるのならば、このあとすぐに人事から連絡させるから」と言われたため、「ぜひ、前向きに検討したい」と伝えたところ、人事から連絡が入り、「弊社は、入社承諾書にサインをしてから入社条件提示書をお渡しする採用フローになっているので、早急に簡易的な承諾書にサインしてほしい。今週末までに回答してほしい」といわれた。というものでした。
「オファー内容も見ていないのに入社承諾書にサインって…こういうことってよくあることなの?」と友人は不安がっていました。
「転職活動を始めたばかりで、応募して3社目で早々に内定と言われ嬉しかったし、一次面接の面接官の雰囲気が良かったし、これまでの経験が生かせそうなので、その会社には行きたい気持ちはある。
でも、まだ他の会社の選考が進んでいないし、他の条件も見てみたかったんだけど…」とのこと。
別の学生時代の友人に相談してみたところ、「簡易的な書類でしょ?いったんサインして、条件提示書類を貰って見てみれば?もしも他社からの提示がもっと良い条件だったら断ればいいよ。だって、憲法で『職業選択の自由が保証』されているんだから」と言われたのだそうです。
条件提示書類の提示が「先」
「あなたは転職支援業界の経験が長いし、プロの意見も聞いてみようと思って。どう思う?」と友人。
・・・良かった。私のこと思い出してもらって。
実は、私自身、これに近いことをキャリアコンサルタントとして企業人事から言われたことがあります。
「入社承諾の意思を確認させてもらってから正式書類を発行します。概ね●●●万円台でのオファーにする予定だから、この転職者を口説いて先に承諾の確約を貰ってください」と。
きっと、この会社は何度も「オファー承諾した後でも平気で断ってくる転職者」に泣かされてきたのでしょう。だから、その対策として「入社意思を書面で貰った転職者にだけ正式書類を発行する」という採用フローにしたのだと思います。
私は、「労働条件を明らかにする書面の提示がない状態では、転職者に意思決定をさせることはできません。書面でご提示いただけませんか」とこの企業に提案し、雇用条件通知書のフォーマットもお渡しした上で、転職者が最低1週間は熟考する期間をいただけるよう交渉しました。
労働基準法や労働契約法上、採用時には「労働条件の明示、文書による明示」が採用企業には義務付けられています。
「入社すると約束するなら採用する」という採用手法は間違っているのです。
労働条件、採用条件をしっかりと文書(紙媒体でも電子媒体でもOK)で提示した上で、転職者に熟考してもらって意思決定するのが正しいやり方です。