和牛の最後の舞台となる前日のNGK。その舞台袖には、吉本興業の岡本昭彦社長の姿があったのだという。

「(解散を)知ってて、目に焼き付けようとしたんやろね」(武智)

 そして武智には、発表直前に水田から電話があったという。率直な理由を尋ねた武智に、水田が答えた言葉。

「コンビ関係がもう、壊れてまして……」

 和牛の舞台スケジュールはすべてキャンセルされ、もう2人の漫才を見る機会はなくなった。3月まで継続の決まっている『和牛のモーモーラジオ』(文化放送)の最新回では、和牛の2人を引き合わせたキューピッドであるバイク川崎バイクがゲストに呼ばれ、水田と川西の直接の会話はできる限り避けられていたように聞こえた。そんな状況でも、川西の言葉の端々に険を感じる、そういう放送だった。

 和牛という漫才コンビが解散に至る風景が、おぼろげに目に浮かんでくる。それを、かき消さなければならない。2人にしかわからない。邪推するものではない。そう強く、思うしかない。

(文=新越谷ノリヲ)