トム・プライスの死亡事故の原因はマーシャル?
トム・プライス自身はどのようにして亡くなったのか、その死亡事故の直接の原因はマーシャルだったといわれています。ここでどのようにして亡くなったのか、その原因について解説します。
死亡事故の前に接触事故が発生
トム・プライスが亡くなる直前、ピット付近でレーサーのレンツォ・ゾルジがエンジントラブルを起こし、車をコースの脇に止めました。そこに2人のマーシャルが駆け付けたのが悲運の始まりでした。
マーシャルのジャンセン・ヴァン・ヴーレンと接触事故を起こした後、トム・プライスの車は別のレーサーに接触をしており、その間でトム・プライスは亡くなっています。
2回目の接触の相手はフランス人レーサーのジャック・ラフィットでしたが、幸いなことにジャック・ラフィットの命に別状はなく、2021年の現在も存命です。
経験不足のマーシャルがコースを横断
コース脇に止めたレンツォ・ゾルジの車から火が噴き、レンツォ・ゾルジは慌ててシートベルトを外しマシンから離れようとします。
その様子をコースの反対側から見ていた2人マーシャルがコースを横切っているときにトム・プライスのマシンが時速300kmで突っ込んできて、2人目のマーシャル、ジャンセン・ヴァン・ビューレンは即死します。
この時トム・プライスの前方を走っていたハンス・ヨアヒム・シュトゥックは横断するマーシャルを確認し、とっさに右へステアリングを切って無事に回避しましたが、トム・プライスにはジャンセン・ヴァン・ビューレンが目に入らず跳ねてしまいました。
経験豊富なマーシャルであれば、不用意にコースを横切るという失態は侵さなかったのではとされており、2人の不慣れなマーシャルが安易にコースを横切ったのが事故の一因です。
消化器がヘルメットに直撃していた
マーシャルを跳ねたのも不運でしたが、マーシャルが消火器を持っていなかったらトム・プライスは命を落とさなかったのではという説もあります。
亡くなったマーシャル、ジャンセン・ヴァン・ビューレンは消火器を持っており、跳ねられたときにこの消火器がトム・プライスの頭部に直撃したのです。
消火器が激しい衝撃でぶつかり、固いはずのヘルメットは見事に割れ、トムとジェリーは即死しました。絶命したトム・プライスは仰向け状態でハンドルを握り締めたままアクセルペダルを踏み、死後硬直状態のまま暴走し続け、第1コーナー先のキャッチフェンスにぶつかってトム・プライスのマシンは大破しました。
トム・プライスの直接の死因は、ヘルメットのあご紐が首を切断に近い状態まで切り裂いたことによるものと言われています。そのため、マシンが発見されたとき内部にはトム・プライスの体液と血液であふれていたそうです。