東京の最新の話題に麻布台ヒルズ(東京都港区)のオープンがある。地上64階、高さ330mのこのビルは、大阪市の「あべのハルカス」を抜く日本一の高さを誇るが、数年後には六本木や東京駅近くにさらなる高層ビルが建ち、麻布台ヒルズが1位なのは数年間の予定だ。“超”が付く高層ビルは、完成すれば必ず話題になり、入居すること自体がステータスになるなど、さまざまなメリットがあるが、開発業者はリスクだらけだという。

「超高層ビルは、計画から完成までとにかく時間が掛かる。麻布台ヒルズの場合、プロジェクトがスタートしたのは1980年代ですから、完成までは30年以上。担当者は1つのプロジェクトでサラリーマン人生を終えるということです。これだけ時間が掛かると、社会情勢は大きく変わります。コロナ禍ではリモートワークが一気に進んでオフィス需要が減って、この傾向は今後も進みそうですし、建設資材や人件費が急激に高騰して、建設費は大幅な上方修正を余儀なくされています。建設中に天災に襲われることもあれば、巨大工事だけに事故が発生することもある。“完成した瞬間に事故物件”なんて笑えない話もあります」(ビジネス誌記者)

 それでも都内では、まだまだビッグプロジェクトがいくつも進行している。それはひとえにビジネスとしてオイシいからかと思いきや、超高層ビルにうま味は少ないという。