妊婦さんの太りすぎには、まずは栄養を取り、体をできるだけ休め、元通りに回復させることを優先させましょう。この時期は「ダイエットをする」というよりも、「健康的な生活を心掛ける」ことを意識することが重要です。東京医療保健大学の米山万里枝教授にお話を伺いました。
妊娠中の妊婦がダイエット?!
え?!妊娠中の妊婦がダイエット?!
妊娠と言えば、お腹の中で赤ちゃんを育てる期間なので、栄養をたくさん摂らなくていけないと思っている人もたくさんいますよね。
妊娠中は赤ちゃんが育ち、羊水や胎盤が子宮の中にできて、厳しい出産に耐えうるだけの栄養を身体に蓄える必要があるので、適度な体重増加は当然のことです。
この記事では妊娠中に意識したい健康的な生活の心掛けについてお伝えしていきます。
監修者は…米山万里枝教授
妊婦の健康管理・指導、出産後の体調・メンタルケアから乳児指導まで母子保健に関する一連の管理・指導活動を行う助産師資格を取得する助産学専攻科、助産師資格を有してキャリアアップをする大学院の教授。
所属:東京医療保健大学
医療保健学部 看護学科/助産学専攻科、大学院 医療保健学研究科
職位:教授
学位/資格:博士(医療福祉経営学)、MBA(経営学修士)、看護師・助産師 等
専門分野:母性看護学・生殖発達看護学 (女性学)・臨床助産学・助産教育学・臨床教育方法 等
妊娠中の理想の体重増加とは?
まず妊娠中にダイエットが必要なのかどうかを考える時には、妊娠中の適度な体重の増加量について知っておく必要があります。
まず臨月の時には、赤ちゃんや胎盤などがどのくらいの重さになるのでしょうか。臨月で必要になる体重の増加量の内訳は次の通りです。
赤ちゃん約3kg
胎盤 約0.5~0.7kg
羊水 約0.5~0.8gk
血液 約2kg
脂肪 約2kg
この数値の合計は大体8kgから10kg程度となります。ただし、妊娠前の体重が少ない人は脂肪やエネルギーを多めに蓄える必要があり、ぽっちゃりさんは脂肪をさらにつけるのは避けなくてはいけません。
人によって理想的な体重増加の目安は変わってきます。体重増加の目安は妊娠前の体重と身長のバランスをみる値、BMIで見ます。
BMIの計算方法は次の通りです。
体重(kg)÷身長(m)×身長(m)
妊娠前のBMI値が18.5未満の痩せ型の人や18.5以上25未満の標準体型の人は12kgまで体重増加しても問題ないと言われています。BMIが25を超えるぽっちゃりさんの場合は、お医者さんと相談する必要があります。
痩せ願望の基での偏った食生活や極端なダイエットを繰り返す若い女性、特に妊婦の低栄養問題は、本人の健康問題だけでなく、「次世代の子ども」の生活習慣病のリスクを高めると言われています。
日本では低出生体重児(2,500g未満)の割合が増えていますが、誘因の一つに若い女性の痩せや妊娠中の体重増加不足があるといわれています。
低出生体重児は、エネルギーを溜めこみやすい体質で、成人後に生活習慣病(高血圧・糖尿病など)にかかりやすいと考えられています。
そのため、妊娠に気づいてからではなく、妊娠する前からの適切な食生活が、自身の健康の維持・増進と、将来生まれてくる子どもの健康にとって大切であることを理解しましょう。適正体重の維持とバランスのとれた食生活は重要なことなのです。
一度適正体重かどうか、産婦人科で確認をすることをお勧めします。